まさかの(!?)クライスラー・ブランドでの展開と相成ったイプシロン。コンパクトで実用的な5ドアなので「日本の希望で」導入が実現したという。

事前のクリニックで「PTクルーザーにボンネットが似ている」などの声もあったのだそう。驚くことにメッキのバー部分が横パターンのグリルは、イプシロンのオリジナルデザインの段階から、クライスラーを意識してのことだったらしい。右ハンドルのイギリスにも『クライスラー イプシロン』が投入されている。

基本はLブランド(ランチア)のイプシロンであり、フィアット500だ。ホイールベースが90mm長く、相当分、後席とラゲッジスペースに余裕を生んだ。事実を書けば、後席は着座姿勢を綿密に詰めた風ではない。乗車の際、手荷物やジャケットを置くのに便利な後席とドア……そう理解するといい。

奮った内・外観デザインは、やはり存在感がある。内装は案外と機能的なレイアウトになっている。アルカンターラが奢られたり、112色のボディ色が選べたりした以前のモデルを知っていると、質感、色バリエーションとも、イプシロンならば、もっと贅沢な気持ちも味わいたい、とも思う。

走りは基本的に、ほぼフィアット500ツインエアのそれ。16インチタイヤを履く乗り味も、リヤのトーションビーム内に純正スタビライザーバーが付く仕様の500と同等。875ccの2気筒ツインエア+自動クラッチ(デュアルファンクション)は、ギヤ比ともフィアット500と共通だが、低回転でのトルクの立ち上がり、回転を上げた際のパワー感などエンジン特性が幾分かスムースで加減速をさせやすく、その分、運転しやすいと感じた。車内騒音もほんの少しフィアット500より小さい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。