三菱 アウトランダー《撮影 太宰吉崇》

三菱のSUV『アウトランダー』がモデルチェンジするというので、旧型の資料をひもといてみた。旧型は2005年に発表されたが、その後今回の大幅なモデルチェンジが行われるまでは、ほぼ毎年何らかの変更や新装置の追加などが行われてきた。

しかしスタイリングについては「ローデスト」という顔つきギャランにも似たオンロード向けモデルが登場した以外は基本的に変更はなく、そのややアグレッシブで、強調されたオーバーフェンダーが特徴的な、ステートメントのはっきりした外観は変わらなかった。


◆アグレッシブから、おとなしく優しい印象への転換

ところが今回の新型では、少なくとも外観は大きく変わって、とてもおとなしく、優しい印象を受ける。しかしそれは、おとなしく優しいからといって決して凡庸な印象ではなく、外寸が4655mmx1800mmx1680mmという大柄なボディを纏っている割には、日常的な都市環境にすんなり溶け込むタイプの外観になって、好ましい変化だといってよい。

SUVといってもオンロード・ユースがほとんどだろうし、たまに山道を走るような旅に出ても、我が国では林道などは一般車両通行禁止が多いから、本格的なオフロードを走るような機会はめったにない。だからオーバーフェンダーの陰からブロックのごつごつしたラフロード用のごついタイヤを覗かせて町中を転がしている様子は、いかにも滑稽で幼稚なので何とかならないかと思っていたが、この三菱アウトランダーの大方向転換を機に、都市環境の重要な構成物としての、クルマのデザインがもっとまともになってくれることを期待したい。

新型アウトランダーのスタイリングを細かく見ていくと、クローム(いわゆる光り物)の使用が、リアを除いて極力控えめに扱ってあるところが好ましい。全体のフォルムで勝負するのだという、先代とははっきりと違ったステートメントを感じる。それは三菱らしく、徹底した空力検証とボディの軽量化という理詰めの努力の結果であって、単に流行を追ったものではないことが分かる。

車幅は先代と変わらないので、オーバーフェンダーが無くなった分、車室の内部寸法が大きくなったと思われ、比較的高い車高と相まって、車内はゆったりして快適である。185cmの私が運転席に座っても後席の膝元にはかなりの余裕があるので、インテリアの再考にはかなりの努力が払われたに違いない。


◆パドルシフトにも配慮を

ひとつだけ気になったのは、INVECS-IIIと呼ばれる6速スポーツモード付きのCVTを操作するパドルシフト。ステアリングホイールの裏側にあるそれは短めにセットしてあるので、私の大きな手でも、かなり指を伸ばさないと届かない。

この種のSUVは女性にも人気が出て来て、町中で子供の送迎などに女性が運転しているのをよく見かけるが、手が小さいとこのパドルには指が届かないかも知れない。その場合はフルオートで走ればいいのだ、というのは技術屋の勝手で、便利で楽しい装置をせっかく作ったのだから、万人がそれを享受できるように配慮してもらいたいと思う。

それを除けば、運転席に限っての印象だが、形に凝りすぎて騒々しすぎるダッシュボードの多い最近の中で、これはどうも、といった抵抗感の全くない素直なデザインで全体を纏め上げている点、秀逸である。

また、同時に発表されたアウトランダーPHEVは、今回の発表会には展示されていなかったが、来年始めに国内販売を予定しているという。こちらも、おおいに楽しみだ。

白井順二|建築家/アーバンデザイナー
1938年生まれ、アメリカに30年居住、その間インドに1年、サウジアラビアに2年、大学で 教鞭をとる。 赤坂のアークヒルズ外構設計、シンガポール高島屋設計担当、大阪梅田北ヤードコンペ優勝、 海外での環境問題の講演多数。クルマのメカニズムや運転が趣味で『カーグラフィック』誌などに 寄稿多数。A級国内競技ライセンス所持。クルマでの北米大陸、インド、ヨーロッパ全域の ドライブ数万キロ。

三菱・アウトランダー《撮影 内田俊一》 三菱・アウトランダー《撮影 三菱自動車》 三菱 アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱 アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱 アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱 アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱 アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱・アウトランダー 《撮影 内田俊一》 三菱・アウトランダー 《撮影 内田俊一》 三菱・アウトランダー 《撮影 内田俊一》 三菱・アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱・アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱・アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱・アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱 アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱 アウトランダー《撮影 太宰吉崇》 三菱 アウトランダー《撮影 太宰吉崇》