8月に発表され10月から発売予定の ポルテ 助手席リフトアップシート車 Bタイプ(国際福祉機器店12)《撮影 山本一雄》

福祉車両のオーナー5名に集まっていただき、購入の経緯から、納車されて初めてわかった使い勝手の感想まで、意見を語ってもらう座談会の第2回。今回は、福祉車両のエクストラコストや、購入時の税金の減免など、一番気になる費用負担について話を聞く。

座談会参加メンバーの年齢は46歳から61歳で、いずれもご両親または配偶者を介助するために福祉車両を購入した方々だ。
Aさん(埼玉県在住・女性、夫の介護のため、トヨタ『ポルテ』(旧型)を新車で購入、現在所有)
Bさん(東京都在住・女性、母の介護のためスズキ『MRワゴン』(旧型)を中古車で購入し改造、現在所有)
Cさん(神奈川県在住・男性、妻の介護のためトヨタ『ヴォクシー』(現行型)を新車で購入、現在所有)
Dさん(東京都在住・女性、父の介護のためダイハツ『ムーヴコンテ』を新古車として購入、過去に所有)
Eさん(東京都在住・男性、母の介護のためトヨタ『ノア』(現行型)を新車で購入、現在所有)


◆「福祉車両購入の費用負担は想像以上に小さかった」

いわゆる福祉車両と呼ばれるクルマのうち、車いすを車両に乗せるための昇降装置と、その車いすを固定するために必要な装置(クレーンや固定用のネットなど)を装備したクルマは、購入時の消費税が非課税になる。また、身体の不自由な方とその生計同一者が所有・利用するクルマは、自動車取得税や自動車税の減免の対象になり、税制面での優遇が受けられる仕組みができている。

30〜60代の男女を対象にイードが実施した「福祉車両に関する調査」(9月24発表)では、消費税が非課税になることを「知らなかった」と答えた人の割合は85.6%だったという結果が出ており、こうした費用面でのメリットはあまり知られていないというのは実情だ。今回の座談会に参加した人も、その多くは優遇税制を知らなかったと答えている。

たとえばCさんは、購入を営業スタッフに相談した際に、消費税や自動車税がかからないという説明を受けたというが、「私はそのとき非課税だというのを初めて知りました」と語る。「実際にはナビやリアモニターを付けたりしてオプションは50万円くらいつけましたが、オプション自体の消費税もかからないらしく税金分だけでもかなり安くなったのでびっくりしました。支払い総額は250万円くらいですね」。

「同じグレードの車と比べるとリフトアップシート車はだいたい15万円くらい高くなっていますが、リアエアコンや左の自動スライドドアが標準だったりと、装備面は標準車よりも充実していたのでエクストラコストが高いとは感じませんでしたね」(Cさん)。

またトヨタ『ノア』を購入したというEさんは、これまで輸入車を乗り継ぎ、国産車を買うのは初めてということもあり、営業スタッフと納得いくまで商談を続けたという。「いままで所有していた車の下取りの交渉とともに、福祉車両購入のメリットも説明してもらいました」。

第1回の座談レポートでも触れたが、福祉車両の仕様は多岐にわたり、また税金の減免や助成もさまざまであるため非常に複雑。少しでも分からないところがあれば、自動車ディーラーや最寄りの県税事務所に問い合わせて疑問点を解消しておくことが大切だ。


◆中古車や後からの改造でも税金面で優遇

こうした税金面での優遇は、福祉車両を中古車で購入する場合や、購入後に改造する場合でも適用される。

自宅近くの道が狭いため、取り回しを考え軽自動車を選んだ2人のオーナーも「支払い総額は思った以上に安かった」という回答をしている。

スズキの『MRワゴン』(旧型)を中古で購入し、改造を加えたというBさんは、購入費用と改造費を合わせて110万円だったという。後改造では改造費用のみの消費税が免除されるが、「中古車の安さもあり、改造費込みでも新車を買うくらいの値段で済みました。自分では絶対にもっと高いと思っていましたから」(Bさん)。

ダイハツの『ムーヴコンテ』をいわゆる新古車として買ったDさんも、支払い総額は120万円程度だったという。「購入について調べているうちに優遇税制について知り、購入へ背中が押されました。うちの車は手動式の回転シートでしたが、それでも乗降はぐっと楽になりましたね。これだけの装置がついてこの額なら安い、と父は言っていましたし、私も満足しました」(Dさん)。

減免税のメリットが大きいのは、消費税に加えて購入時に支払う取得税や自動車税の絶対額が大きい新車購入の場合だが、購入総額を重視するというのであれば、中古車や後改造も選択肢の一つになりうるだろう。


◆介助される方の身体の状況に応じた最適な車選びを

一方で、税金面でのメリットは享受できたが、自動昇降/回転機能シートに加えて、電動式の車いす用収納装置を装備したため、結果的にかなりの出費となったというのがトヨタ『ポルテ』を購入したAさんだ。「クルマ自体はそれほど高くはのですが、介助のための装備を色々付けたので、結果的に少し割高になってしまいました。ですが、納得の上での金額でしたし、何よりも移乗の際の苦労から解放されたのでとても満足です」(Aさん)。

このように、福祉車両は標準車に比べて数万円の追加出費で購入できることもあれば、数十万円もの差が出てくることもある。当然なことだが、福祉車両購入の目的は、移動の自由を得て、本人や介助する側の身体的・心理的な負担を減らすことが第一義。福祉車両は単に安く購入できればいいというものではなく、介助される方の身体の状況に合わせることが何よりも重要だ。

そして、こうした利用者の費用負担を軽くするために、各種の優遇税制が用意されており、また各地の自治体でも福祉車両購入時に助成が受けられる仕組みができているというわけだ。(第3回に続く)

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