本田賞決定…拡散MRI技術を確立したルビアン博士に授与

本田財団は27日、2012年の本田賞として、急性脳梗塞診断に用いられる拡散MRI技術を確立した、仏ニューロスピン超高磁場MRI研究センター所長で京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター教授のデニ・ルビアン博士に授与すると発表した。

ルビアン博士は、拡散MRI(核磁気共鳴画像法)技術の基礎から臨床応用までを医学的かつ科学的に確立した先駆者で、革新的な画像技術からMRIの世界的普及に貢献した。この拡散MRIは、静脈に薬剤を注入する血栓溶解療法の導入とあいまって、治療が有効な急性脳梗塞発症後数時間以内の診断時間を大幅に短縮させ、多くの患者の救命に役立っている。同時に、拡散MRIが提供する鮮明な画像により、神経疾患の診断精度も向上し、手術前に腫瘍切除の範囲決定が可能となることで、手術時に身体機能関連の脳繊維を損傷してしまう事故数を激減させた。

また、近年の神経科学では、脳機能の基盤を構成する脳回路の解明は最大関心事の一つで、脳の活用法などの研究にもつながると考えられている。ルビアン博士が確立した拡散MRIを用いると、脳疾患、アルツハイマー病、精神障害、依存症、神経疾患などの神経変性疾患によって神経繊維が減った脳の部位やその量を確認できることから、新たな治療法の実現など、神経科学の先端研究領域を拓くことが期待されている。さらに、水分子の拡散が著しく低下するがん病巣などの腫瘍転移の早期発見への応用も期待されている。

同財団は、拡散MRIが時間との勝負になる急性脳梗塞治療に活用され世界中で多くの人々の救命に役立っていることは、エコテクノロジーの具現化の一例であり、本田賞にふさわしいものとしている。

第32回本田賞授与式は、11月19日に東京・帝国ホテルで開催され、副賞として1000万円がルビアン博士に贈呈される。