ブラックアウトされたヘッドライトベゼルはGTS専用

多くのモデルバリエーションを展開しているカイエンシリーズの中で、『カイエンターボ』を除いて最強最速なのが『カイエンGTS』。

2代目カイエンGTSは、V8エンジンを搭載する『カイエンS』よりも最高出力が20馬力と最大トルクで15Nmが増強されている。

シャシーも、独自。車高は24mm低く、リアトレッドは17mm広い。オプショナルのエアサスペンションを選べば、車高はさらに20mm低くすることができる。

タイヤは20インチが標準だが、試乗車はオプショナルの21インチを履き、エアサスペンションを装備していた。内輪と外輪の回転差を利用したコーナリング安定デバイスのポルシェ版である「PTV Plus」(ポルシェ・トルク・ベクトリングプラス)をはじめ、オプショナルも豊富。特に、アダプティブクルーズコントロールなどのドライバーアシストシステムが充実してきていることもまたカイエンGTSの特徴となっている。

とても快適な乗り心地で、見掛けほど荒々しくないのは先代と変わらない。一方で、その狙いとするコーナリング能力も飛び抜けている。山道やサーキットでも、PTV PlusやこちらもオプショナルのPDCC(ポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロールシステム)などの効果も大きく、大きく重いクルマを振り回しているという実感が小さかった。ひと昔前のSUVだったら考えられないほどのスピードと最小限の姿勢変化でコーナーをクリアしていくのが印象的だった。

もうひとつ断言できる進化点は、ティプトロニックSの制御の洗練ぶりだ。実にキメ細かく効率的かつダイナミックな変速をする。人間よりもはるかに賢い。カイエンGTSは見た目の迫力とは裏腹に、その走りっ振りは緻密だ。

と、ここまで書いてきて、オススメ度の★をいくつ付けるか悩ましくなってきた。重量級SUVをスポーツカーのように速く走らせたい人に向けては六つも七つも付けたいところだが、そうではない人にはノーマルのカイエン(V6搭載)で十分以上だからだ。V6でも速く、そして悪路や悪条件での走破能力は変わらないのだ。

5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア・居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

金子浩久|モータリングライター
1961年、東京生まれ。主な著書に、『10年10万キロストーリー 1〜4』 『セナと日本人』『地球自動車旅行』『ニッポン・ミニ・ストーリー』『レクサスのジレンマ』『力説自動車』(共著)など。

タイヤはオプショナルの21インチ カイエンGTS