プリウスPHV

『プリウスPHV』を数日使用したが、結局自宅や出先でコンセントをつないで充電することがなかった。充電する気も起きなかったというのが正確なところだ。なぜならば、走れば自動的にエンジンから充電が行われるからだ。

プリウスPHVの頭脳であるコンピュータはとても賢く、走行状況や道路状態などに合わせて充放電と駆動をキメ細かく切り替えながら、ドライバーはほぼ何も意識することなく運転していれば充電が行なわれている。

そして、プリウスPHVにおいては満充電することの意義は薄い。走れば減るだけのEVに対して、PHV(HVも)は走行中に減った電気をすぐに取り戻すことができるのである。タイヤを駆動するトルクと蓄電量を案分する制御ぶりが精緻で舌を巻いてしまう。

プラグインハイブリッドというと、コンセントにコードを差し込んで充電するプロセスが必須のように思っていたが、その必要は強く感じない。これなら、自宅や勤務先に充電する設備がなくても大きな問題はない。

つまり、プリウスPHVの本質は“EV走行可能な距離が長いハイブリッドカー”なのではないだろうか。

そう思うと、想像は膨らんでいく。プリウスPHVのコンピュータがさらに精緻化され、バッテリーに飛躍的な進化がもたらされて蓄電量が増え、航続距離が伸びれば、ガソリンの消費量は相対的に低減されていく。もっと進めば、発電するのはエンジンである必要がなくなってくる。例えばボディに貼り付けたソーラーパネルで発電した電気をバッテリーに蓄えて走ることもできるようになるかもしれない。そんな想像というか妄想を掻き立てられた。

プリウスPHVはフューチャリスティックなクルマだ。旧来的な“ジドウシャ”はドライバーが主役だったが、プリウスPHVはコンピュータが主役である。「2001年宇宙の旅」で宇宙船ディスカバリー号を制御するHAL9000のようなものである。デジタル・ガジェットそのものだ。

5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア・居住性:★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★★

金子浩久|モータリングライター
1961年、東京生まれ。主な著書に、『10年10万キロストーリー 1〜4』 『セナと日本人』『地球自動車旅行』『ニッポン・ミニ・ストーリー』『レクサスのジレンマ』『力説自動車』(共著)など。

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