オーリス《撮影者 松下宏》

『ウィッシュ』や『ストリーム』など、全高を抑えたタイプのミニバンは、かつてとても良く売れた時期があった。しかし最近では、背の高いミニバンが売れ行きの主流になっている。そんな中でマイナーチェンジを受けたウィッシュに試乗したら、改めて低全高の良さが分かった。

7人乗りの室内空間は3列目にも大人が乗れるだけの空間があるが、大人が長時間リラックスできる広さではなく、普通は子供を乗せるスペースとして使うことになる。

というか、普段は5名までの乗車を前提に3列目シートをたたんでラゲッジスペースを拡大しておき、たまに6名以上が乗るときに3列目シートを使うようなユーザーが買うクルマだろう。

ミニバンのボディはセダンに比べたら重くなるが、それでもウィッシュは全高が低いので『ノア』『ヴォクシー』などの背の高いミニバンに比べるとざっと200kgくらい軽い。

搭載エンジンは1.8リッターの自然吸気仕様だが、このエンジンが発生する105kW/173N・mのパワー&トルクもウィッシュのボディに見合っている。

実際に市街地やワインディングを走らせてたときの印象も、動力性能に不満を感じるシーンはなく、むしろスポーティな走りを感じたくらいだ。

無段変速のCVTが組み合わされ、1.8Sにはパドルシフトも装備されており、ステアリングから手を離すことなく7速のマニュアル車感覚の走りを楽しめる。

積極的な走りを楽しむときだけでなく、コーナーの手前や、高速道路で前方のクルマとの車間距離がつまり、エンジンブレーキをかけたいときなど、パドルシフトがあると便利だ。1.8Sにはほかに、低めのギア比を維持して走るスポーツモードの設定もある。

足回りはやや柔らかめで乗り心地重視の味付けながら、操縦安定性のレベルも高い。ワインディングなどを走らせても軽快感のあるフットワークを見せた。

重心高が低い分だけ走りのバランスが良く、背の高いミニバンとは異なる走りの感覚なのだ。ミニバンタイプのクルマでも、これくらいの操縦安定性が欲しい。

試乗車は車両本体価格が213万円で、販売店装着のエクシードナビのほか、スマートエントリー、10スピーカー、ETCユニットなどが装備されて246万円強の価格になっていた。全車ともオーディオレスが標準なので、オーディオかカーナビなどを装着する必要がある。

横滑り防止装置のS-VSCやSRSサイド&カーテンエアバッグなどが全車に標準となるほか、2列目の中央にも3点式シートベルトやヘッドレストレイントが装備されるなど、安全装備の充実度も高いので、これくらいの価格は妥当なところだろう。

『プリウス』の価格帯とオーバーラップするので、環境性能重視ならプリウス、いざというときの多人数乗車重視ならウィッシュを選べば良い。走りの楽しさはガソリン車であるウィッシュが上だ。


■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

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