羽田雄一郎国交相(8月31日・国交省)《撮影 中島みなみ》

足かけ18年にもわたって返済されない借金の扱いをどうするか。来年度予算に反映する期限が迫っている。国土交通省が財務省に貸し付けた自動車損害賠償保険の保険料運用益6029億円の扱いだ。

31日の会見で、羽田雄一郎国交相は「国交省しても引き続き財務省と協議を行っていく」と、歴代の大臣の意見を踏襲した。

有識者などを交えた審議会や懇談会では、ユーザーの保険料を使った運用益は、交通事故被害者救済など事故関係者に限って使われるべきで、早期に返還される必要があると毎年のように指摘しているが、財務省は2003年以降は1円の返済も行っていない。

そもそも、この借り入れのきっかけとなったのは財政難である。自賠責保険料が高めに見積もられていたために2兆円もの運用益が積み上げられていたことに財務省が目を付け、一般会計のために1兆1200億円を借り上げた。

その後、約7000億円は返済されたが、利息は1181億にまで膨らみ、総額で6029億円もの債務が残った。

それは余りにも巨額だ。例えば、1万2600人の職員を抱える海上保安庁は、船舶購入などの物品費と人件費を含んだ今年度予算が1780億円。それを3年以上まかなえる金額に匹敵する。

とても単年度予算で一括返済できるものではないので、財務大臣と国交大臣の2者で、返済期限だけを3回も延長している。延長の理由は、借り入れを起こすときと同じ財政難だ。

返済期限の延長で、最も最近に行われたのは、現在は首相の野田佳彦財務相と馬淵澄夫国交相が交わした覚書。2018年度まで返済期限を書き換えたことだけが記されている。

国民の代表である野田首相は、将来にツケを残さないと消費増税を不退転の決意で断行した。自動車ユーザーに最も近い羽田国交相は、この借金をどう処理するのか。任期中に解決する意欲はあるのかとの問いかけにこう答えた。

「来年度の具体的な要求内容は、最終的な検討を行っているのでお答えできないが、財務省としてしっかり協議は行っていく。今の財政状況の中で、特例公債法案も通らない中で、国民の安心安全、経済の安定も考える中で、財務大臣と話をしたい」

もし一部でも返済があるとすれば、9月に締め切られる概算要求概要で示されなければならない。その結果は、まもなく明らかにされる。

羽田雄一郎国交相《撮影 中島みなみ》