ホンダ・フィットハイブリッドRS《撮影者 松下宏》

ホンダのヒットモデルである『フィット』に、「ハイブリッドRS」が追加設定された。

ハイブリッドRSは標準車のハイブリッドとはエンジンの排気量が異なる。標準車が1.3リッター(65kW)なのに対し、RSは1.5リッター(84kW)エンジンを搭載する。これによる基本性能の向上がRSにふさわしいスポーティな走りを引き出している。

1.5リッターエンジンとIMA方式のハイブリッドとの組み合わせは、『CR-Z』や『インサイト エクスクルーシブ』などにも搭載されている。それぞれ微妙にチューニングが異なる部分があるが、基本的には同じものと考えていい。

標準車のハイブリッドが環境性能(燃費)を最重要項目としているのに対し、RSは燃費の追求だけでなくスポーティな走りも追求している。ハイブリッドの性能を走りにも生かそうという考えだ。

実際に走らせると、標準車のハイブリッドとは動力性能が違うことがはっきりと感じられた。アクセルを軽く踏むだけでスムーズに走り出し、アクセルを踏み込んでいくと力強いトルクが盛り上がって軽快な走りが楽しめる。スムーズで気持ち良く加速に乗っていく感じだ。

ハイブリッドRSは電池を搭載する分だけ車両重量が重くなり、ガソリン車のRSに比べると100kgくらい重いのだが、この重さが走りの鈍さにつながることはない。むしろエンジン+電気モーターの出力によってガソリン車以上の走りを実現する。

カタログ燃費は標準車のハイブリッドに及ばないが、あまりアクセルを踏み込まなくても良く走るので、実用燃費は互角に近いのではないかと思わせた。

今回の試乗では、首都高を中心に70kmほどの距離を走ってリッター15km台の燃費。テストドライブなので相当に元気良く走らせた結果がこの燃費だったが、短い距離ながら普通に走らせたときの区間燃費はリッター18km台だった。

試乗したのはCVT仕様車で、加速にマニュアル車ほどのダイレクト感はないものの、パドルシフトを操作すれば積極的な走りが楽しめる。パドルを操作したときのレスポンスの良さも上々のレベルにある。

ステアリングは個人的な好みからすればちょっと柔らかめの味付けだが、中央部分のすわりが良くて操舵(そうだ)に対して確かな反応を示すので、ねらい通りの走りをしやすい。

足回りはしっかりした印象の乗り味を感じさせると同時に、乗り心地の良さもスポイルされてはいない。CR-Zはもっと硬めの足回りだが、フィットのハイブリッドRSでは快適性にも配慮した味付けだ。

重量の重い電池を後部に搭載することで、クルマの重量バランスは後方寄りになった。これはわずかな違いなので、それを明確に感じ取れるほどの敏感な感覚を持ち合わせていないが、結果として走りのバランスにつながっているのは間違いない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

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