光岡 ビュート《撮影者 松下宏》

光岡のオリジナルデザインはいろいろな車種をベースに作られていて、同じ名前のモデルでも世代によってベース車が変わることもある。そんな中で『ビュート』は、初代モデル以来、一貫して日産『マーチ』をベースに光岡オリジナルのデザインをまとったクルマを作ってきた。

2012年5月に発売された3代目ビュートも最新のタイ製のマーチをベースにしている。2世代前のマーチをベースに初代ビュートが作られたのは1993年だから、実に20年近くにわたって作られ続けてきたことになる。

ボディの外装パーツを光岡オリジナルのものに変更しているが、クルマの骨格や基本メカニズムの部分には特に手は加えられていない。なので走りについてはマーチとほとんど同じと考えていい。

3気筒1.2リットルエンジンの動力性能は必要十分なものだし、アイドリングストップ機構の効き具合もまずまず。副変速機付きのCVTもスムーズかつ必要なときには低いギアに切り換わって力強い加速を示してくれる。

光岡オリジナルのデザインに変更するのに伴って、車両重量がざっと100kg程度重くなった。重量の増加は走りに影響を与えているはずだが、市街地を走らせている限りではほとんど違いは感じられない。

高速道路への合流や、追い越し加速などのときには加速の鈍さを感じるシーンがあるかもしれない。まあビュートは元気に走らせるよりも雰囲気を楽しむクルマなので、走りをうんぬんするのは野暮(やぼ)というものだ。

ただし、後部に追加されたトランクは開口部が小さく、内部に出っ張りがあり、リッドをロッドで支える方式なので使い勝手は極めて良くない。ビュートでは、荷物は室内に置く程度にとどめ、トランクに積むことは考えない方が良い。

ビュートを走らせていると街中でとにかく目立つ。これは今回のモデルでも変わらない。交差点などで停車するたびに多くの人がこちらを見ているのが分かる。最近は新型車に乗っていてもさほど注目されないことが多く、クルマに対する関心が薄れているのを感じさせられるが、ビュートの注目度は抜群だ。

試乗車は標準仕様のモデルだったので、乗っている人から目に見えるのは普通のマーチの内装。周囲の人からの注目度と、ドライバーの気分との間に大きなギャップがある。

今回のビュートではオプションで本革シートや木目パネル、クラシックドアトリムなどのインテリアの仕様が設定されている。なので、オプションを装着して内外装をコーディネートするといい。

インテリア回りのオプションを全部装着すると、そもそもマーチに対して100万円以上高い本体価格に加え、更に40万円以上の予算が必要になるから判断が難しいが、ビュートを気に入って買うなら、是非とも内装の仕様をグレードアップしたい。オーナーが運転中に見ているのは外観ではなく内装であるからだ。

パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

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