斜め蒸着・ヨウ化銅(CuI)ナノロッドシート概念図とナノロッドを用いた新構造の作製プロセス

JSTと金沢大学は、有機薄膜太陽電池で既存のバルクへテロ構造を越える新しい構造を開発、高効率化に成功したことを発表した。

今回、研究者らは、従来の有機薄膜太陽電池に用いられているバルクヘテロ構造を使わず、これと同等以上の効率が得られる新しい構造の創出に挑戦した。

まず、デバイスの基板上にCuI(ヨウ化銅)をナノメートルサイズの棒状粒子(ナノロッド)の形で散りばめた、山谷構造を持つシートを形成。その上に、ドナー材料の亜鉛フタロシアニン(Pc)とアクセプター材料フラーレン(C60)を単純積層すると、それらもナノロッドの山谷構造に合わせて成長するため、平坦な基板に比べて結晶性は高くなり、2つの材料間の接触界面も増加する。

さらに、研究者らがこれまでに発見したヨウ化銅と亜鉛Pcの相互作用による分子の配向制御によって、光吸収が増加。それらの相乗効果の結果、ナノロッドシートを用いた新構造太陽電池の効率は、単純積層型に比べて3倍の値(4.1%)を示し、従来のバルクヘテロ型太陽電池を超える結果を得た。

バルクヘテロ構造に代わる、簡便・安価に作製できる新デバイス構造が開発されたことで、JSTと金沢大学は、今後、企業などとの共同研究によって、早期の実用化の加速を目指していく。

従来のバルクヘテロ構造の概念図とそれを用いた有機薄膜太陽電池のデバイス構造