富士キメラ総研は、スマートデバイス(スマートフォン、タブレット端末)と関連ビジネスの国内市場を調査し、結果を報告書「2012スマートフォンビジネス総調査」にまとめた。

調査では、スマートデバイスと競合機器を含めた端末市場9品目、アプリケーションストアや映像配信サービスなどコンシューマ向け市場10品目、組み込みミドルウェア、アプリケーション受託開発など法人向け市場17品目、携帯電話サービス、WiMAXサービスなどネットワークサービス市場4品目について、それぞれ現状を分析し今後を予測した。

移動体通信キャリア4社の携帯電話サービス契約数(個人契約、法人契約)は、2011年度末時点で日本の総人口と同規模の1億2821万件となった。契約数全体のうち、9割を個人契約が占めており、その大半を占める音声通話端末ではフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が進んでいるが、音声通話端末全体としてはほぼ飽和している。

契約数全体の残り1割を占める法人契約では、タブレット端末の業務活用など新規需要の創出や、M2M(マシーン・トゥ・マシーン)アプリケーション拡大による通信モジュール系の需要増加が見込まれる。2016年度末には、2011年度末比22.8%増の1億5745万件を予測する。

音声通話端末(スマートフォン、フィーチャーフォン)ではアップルの「iPhone」が牽引してきたスマートフォンは、「ワンセグ」「おサイフケータイ」などの機能を搭載したアンドロイド端末が2010年度後半に投入されて以降、ユーザーが大幅に増加した。

2011年度はこの動きが加速し、フィーチャーフォンに加えてスマートフォンも所有する2台目需要から、スマートフォンへの機種変更による1台持ち需要が中心となっている。2011年度末時点では、フィーチャーフォン契約数が8651万件に対してスマートフォン契約数は2683万件となった。通信キャリアはARPU(ユーザー1人当たりの平均売上高)増加につながるスマートフォンの販売を促進しており、2013年度末にはスマートフォン契約数が6000万件となり、フィーチャーフォン契約数5690万件を上回ると予測。

さらに、2016年度末のスマートフォン契約数は9500万件となり、音声通話端末全体の79.5%に達すると予測する。

スマートフォンへの移行は個人契約が先行する見通し。法人分野でもスマートフォンの業務活用が注目されているが、通話やメール機能だけで十分として、コストを重視しフィーチャーフォンの運用で足りると考えるユーザーも多い。端末管理やセキュリティ対策など解決すべき課題も多く、本格的に大量導入する動きはまだ少なく、コンシューマ分野より遅れて移行していく見通し。

データカード系(PC用データ通信カード、Wi-Fiモバイルルータ、携帯電話回線内蔵タブレット端末など)は、これまで主流だったパソコン用データ通信カードから、ノートパソコンやタブレット端末、携帯用ゲーム機など多様なWi-Fi(無線LAN)対応機器をつなぐことが出来るWi-FIモバイルルータへのシフトが進んでいる。

アップルの「iPad」をはじめ、携帯電話回線を内蔵したタブレット端末は、コンシューマ、法人とも月々の通信コスト負担への抵抗感が根強い。このため、タブレット端末の需要はWi-Fiモデルが中心。しかし、法人分野では外勤時のセキュリティ対策や管理面から一定の需要があると見られる。

ノートパソコンの代替用途や新規用途の開拓などタブレット端末への関心は高く、運用が確立してくる2012年度から導入が本格化していく見通し。2016年度末時点のタブレット端末契約数は、2011年度末比4.8倍の480万件を予測する。

アプリケーションストアは、スマートデバイスの急速な普及に伴って市場が拡大しており、2011年度は440億円となった。このうち、課金収入が90%以上を占めている。2012年度には前年度比2.8倍となる1245億円、2016年度には11年度比11.8倍の5170億円を予測する。

無料アプリが数多く提供されていることに加えて、現状では、都度課金が中心で月額課金が浸透していないため、スマートフォンのユーザー平均課金額はフィーチャーフォンよりも低い。一方で、ビジネスツールやユーティリティ系アプリ、セキュリティアプリなど、スマートデバイスならではのアプリへのニーズが高くなっている。大画面化やタッチ操作などハードウェアの性能向上によって映像配信、電子書籍、ゲームなど各種コンテンツの利用機会も増えている。キャリア決済や月額課金などフィーチャーフォンで馴染みのある課金方法への対応も増え始めており、将来的にはユーザー課金額の上昇を見込む。