トヨタ・プリウスPHV《撮影 太宰吉崇》

『プリウスPHV』に乗り約1200kmを走破した。HVの『プリウス』(現行モデル初期型)オーナーである筆者は、基本的にPHVの必要性を感じていない。そこを敢えてレポートさせる狙いは何だろう? PHVの理解度を深めさせたい意図でもあるのか? と勘ぐりたくなるが、人選はユニークである。

PHVを借り出して1週間、市街地の日常使いと、三河の往復、群馬の往復と長距離を連発した結果が、総走行距離約1200km。

市街地走行は、ジワッとアクセルを踏み込むとEV走行のままある程度の距離を進むのはHVのプリウスと変わらない。しかしHVプリウスのEV走行距離や時間は短距離、短時間だ。

エンジンを始動させない操作をした時点で、すでにプリウス独自の運転方法になってしまい「自動車」とは違う扱い方になるが、そこはプリウスの特性を活かすための操作ということで免じてほしい。

PHVのEV走行もゼロスタート加速を、ジワッと、急な負荷を与えないよう加速させる必要がある。世の交通の流れを抑える、流れを変える走行はもっとも慎むべき行為だ。PHVはそこまでではないとはいえ「スロースターター」に徹しないと、エンジンカーになりやすい。特にエアコン使用時には負担が大きくなる。

日常の使い方で市街地の燃費はどうか? PHVは平均約20km/リットル。標準プリウスは約18km/リットル、というのがまったく同じ使用条件下での実燃費だ。意外に数値が伸びないと思うだろうが、燃費走法などしない、燃費向上のための“小技や裏技”など一切使わない実燃費、電費である。その状況でいうと、PHVは電力消費の上下幅が少ないのは、やはりバッテリー容量の余裕といえる。

プリウスPHVでの高速走行を含む長距離ドライブの平均燃費は約22km/リットル。これは平均速度69km/時という高い車速の中での数値である。この点はHVのプリウスとの比較はできていないのだが、高速走行中の車速の変動(車速を落とすこと)に対して、HVのプリウスはみるみる平均燃費をあげるのに対して、PHVの上がりシロは少なく、燃費への貢献が少ない事は意外だった。

HVプリウスの車重は1350kg、前輪荷重830kg、後輪荷重520kgの前後重量バランス。一方プリウスPHVは1440kgに対して前840kg、後600kg。90kgの重量増加分のほとんどはバッテリーで、それが後輪に加わることで前後の重量バランスはPHVが断然優れている。

その違いも含めてだが、マイナーチェンジ後のプリウス(PHV含む)は、操縦性の良さと乗り心地の良さが特筆できる。ボディ後部からの軋み音が消え、ボディ剛性感の高さと、ブレーキの自然な効き味と、回生ブレーキと油圧ブレーキの制御がさらに進化して、ブレーキ操作による効き味の自然さ、滑らかさは、VWの最新EV『ゴルフ』と同レベルの質の高い完成度を持つ。

充電は本来、家庭なり外部なりの電源を使わなくても済むのがハイブリッドのメリット。EV走行のみで用を足せる“短距離走行”であれば、確かに家庭用200V充電で、数十分でほぼ満充電は可能。やや気になるのはセキュリティ上大切にすべき充電ハッチに鍵がかからないことだろう。日本国内での使用とはいえ、充分に安全とは考えられないため、このあたりは今後の課題といえる。

さて、プリウスPHVは、HVのプリウスに対してプラス90kgの車体重量と、88万円高の320万円という価格(補助金45万円を見込んでも43万円高)に見合う満足できる性能差が得られるのだろうか。

個人的にはPHVではなく、マイナーチェンジ後のHVプリウスなら、ハンコを付いてもいいかなと思った。

トヨタ・プリウスPHV《撮影 太宰吉崇》 トヨタ・プリウスPHV トヨタ・プリウスPHV《撮影 太宰吉崇》 トヨタ・プリウスPHV《撮影者 松下宏》 トヨタ・プリウスPHV《撮影者 松下宏》