帝国データバンクは、太陽電池関連企業の実態調査・損益分析結果を発表した。

同社では、2009年に企業信用調査報告書「CCR」などをベースに、太陽電池関連企業553社を抽出して実態調査を行った。今回、新たに同じ条件で、太陽電池関連企業1021社を抽出し2009年時点と2012年時点の状況を比較し3年間の変化を明らかにした。

セル・モジュールメーカー調査では、2012年調査のセル・モジュールメーカー30社を業種別にみると、2009年調査比で「鉄鋼・非鉄・鉱業」が2社、「電気機械製造」が5社増加しているほか、「建材・家具、窯業・土石製品卸売業」、「家電・情報機器小売業」の企業が1社づつ増加していることが分かった。小売や卸の企業が、太陽光発電パネルの販売を事業として取り組んでいく中、太陽電池までも一貫して製造するようになったため。

2012年調査のセル・モジュールメーカー30社の生産拠点は、近畿が11カ所で2009年調査比で2カ所増えた。次いで九州・沖縄の8カ所で、同じく2カ所増で、生産拠点が近畿、九州・沖縄に集中する傾向に変わりはない。ただ、生産拠点の純増数では、関東、中国・四国が3カ所増となっており、分散化の兆しもみられた。

生産能力は、シャープや三洋電機の工場が集中している近畿が1817MWで最も大きくなり、ソーラーフロンティアなどの工場がある九州・沖縄が1106MWと続いた。それでも2009年調査時点で回答された2012年の予定生産能力を下回っている。これは、コスト競争力の強化を目的にセル・モジュールメーカーが生産体制を見直し、海外に生産拠点を設ける動きが活発化したことなどが背景にある。

また、2012年調査の太陽電池関連企業1021社のうち、2008年度〜2010年度までの業績が判明した689社(セル・モジュールメーカー25社、部品・材料メーカー263社、製造装置メーカー401社)について、売上高と経常利益の3期間平均伸び率を分析した。

太陽電池関連企業3分野の平均売上高伸び率は、セル・モジュールメーカーが17.3%増、部品・材料メーカーが4.8%減、製造装置メーカーが7.8%減となり、セル・モジュールメーカーが大幅増となった一方で、材料・装置の提供先である部品・材料メーカー、製造装置メーカーは減収となった。

最も伸び率が大きかったセル・モジュールメーカーの売上高伸び率の分布を見ると、業歴の浅い企業が相対的に売上高を伸ばしていることが分かる。新しい企業には、異業種が分社化して参入するケース、ベンチャー企業が特殊な技術やビジネスモデルを用いて参入する専業企業が多いため、太陽電池市場の拡大の恩恵を最大限に享受している。

太陽電池関連企業3分野の平均経常利益伸び率は、セル・モジュールメーカーが3.5%減、部品・材料メーカーが51.1%増、製造装置メーカーが8.9%増となった。売上高分析と一転して、部品・材料メーカーと製造装置メーカーが増益となり、セル・モジュールメーカーは減益となった。

セル・モジュールメーカーは太陽光発電市場の広がりを受け、売上高を伸ばしたものの、中国メーカーなどの躍進による厳しい価格競争から、利益が圧迫されたとみられる。最も伸び率が大きかった部品・材料メーカーの経常利益伸び率を業種別でみると「化学品製造」が96.5%増で最も伸び率が大きく、「鉄鋼・非鉄・鉱業」が39.5%増で続いた。

さらに、取引構造分析によると、2009年調査と2012年調査を比較すると、セル・モジュールメーカーの主要取引先の顔ぶれに大きな変化がみられた。セル・モジュールメーカーの主要な取引先と確認できた部品・材料メーカーの企業数は、2009年調査は80社、2012年調査は118社。

部品・材料メーカーの主要な取引先と確認できた下請メーカーは、2009年調査は6749社、2012年調査は9810社となった。セル・モジュールメーカーと直接取引をする部品・材料メーカーをみると、2009年調査で多かった業種が「電気機械製造」や「鉄鋼・非鉄・鉱業」などだったのに対して、2012年調査では「化学品製造」が39社でトップとなっている。社数だけの比較で「化学品製造」は4倍近くも増加しており、3年間のうちに「化学品製造」の企業がセル・モジュールメーカーとの主要取引を大きく拡大させていることが明らかになった。