アイフリーク ソーシャルゲーム事業推進室 鎌田陽文室長《撮影 土屋篤司》

旺盛なテレビCMでも活況であることが感じ取れるソーシャルゲーム市場。その市場に3月、レーシングチーム運営ゲーム『AFTER FIRE』を投入したのが、モバイルコンテンツやEコマース事業を運営するアイフリークだ。

レーシングチームを運営しながら車両やドライバーを育て、レースを勝ち上がってゆくゲームであるAFTER FIREは、わずか3か月の運営で10万人を超えるユーザーが楽しむほどのヒット作品となった。

今回はAFTER FIREの生みの親で、アイフリークのソーシャルゲーム事業推進室室長の鎌田陽文氏へのインタビューを通して、ソーシャルゲームの現状にスポットをあてる。コンプガチャ問題にも言及してもらった。

◆ソーシャルゲームとは、どのようなものなのか

---:そもそもAFTRE FIREをはじめとするソーシャルゲームとはどのようなものなのでしょうか。

鎌田:たとえばモバゲーやグリーといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、インターネット上のコミュニティをプラットフォームとして、人と人とのつながりをゲームの中でも、というのがソーシャルゲームです。SNSの中で友達を作って、ゲームを楽しみます。友達とは協力しあうこともありますし、互いに戦うこともあります。その関わり方はゲームによって異なりますね。

---:最近はテレビCMもたくさんあって盛り上がっているように見えますが、これはいつから、このような状況になったと感じますか。

鎌田:これほどの盛り上がりは、ここ1〜2年ではないでしょうか。それ以前とは市場規模が大きく違います。そもそもソーシャルゲームという呼び方が出てきたのも3年くらい前だと思います。それ以前はモバゲー、グリー、ミクシィなどで独自にゲームが作られていましたが、ちょうど3年くらい前から外の会社でゲームを作ることが活発になりました。

---:アイフリークがソーシャルゲームを始めたのも、そのころ。

鎌田:そうです。2010年10月のリリースが最初でした。以前はデコメの公式サイトの運営などを行っていました。ただ、デコメの公式サイトで毎月数百円いただくというビジネスモデルを継続するのは難しいだろうと言われていました。ならば、そのころ急成長していたソーシャルゲームに挑戦しようと。

◆AFTRE FIREというゲームの特徴

---:AFTER FIREというゲームは、レーシングチームを運営していくというものですが、そこでの他者との関わり合い、「ソーシャル」な点はどのように活かされているのでしょう。

鎌田:仲間を得るという点です。ゲームの中には挨拶をするというアクションがあります。そこでポイントがもらえます。ゲーム内の課金によって得られる通貨ポイントとは別で、AFTRE FIREでは「情報ポイント」と呼んでいます。ゲーム中、遊んでいるとゲーム内での「体力」が消費されていきます。情報ポイントは、その体力の回復に使えます。他者と友達になると、ポイントが他人と挨拶するよりもたくさんもらえるのです。また、イベントなどでボスのようなものが出てきて、それを一人では倒せないときに手伝ってもらうことができます。

---:普通、クルマのゲームというと、「運転して走らせる」のが主流だと思うのですが、AFTER FIREは「運転」のアクションがありません。

鎌田:携帯電話やスマートフォンは「クルマの運転」という動作を行なうのには余り向いていないと考えました。そこは割り切って、「チームの運営」や「クルマのチューニング」にフォーカスした方が世界観として成立しやすいのでは、というのがこのゲームです。

◆「コンプリートガチャ」の何が問題なのか

---:ソーシャルゲームにおいて「コンプリートガチャ」が問題になりましたが、それはどのようなものなのでしょうか。

鎌田:ゲームの中に「コンプリートガチャ」の手前の段階となる「ガチャ」があります。

---:いわゆる「ガチャガチャ」とやると、何かアイテムが出てくると。AFTRE FIREでいえば、新しいクルマやチューニングパーツなどですね。

鎌田:そうです。そして「コンプリートガチャ」は、AFTRE FIREの例で言うと、たとえば新しい車種が4種追加されて、その4種を揃えると非売品のすごいものが手に入りますよ、というものです。ゲームによってはコンプリートするのに、何十万円もかかってしまうものがありました。

---:全部揃えるには、何度も何度も「ガチャ」をやり続けなければいけない。そこでお金を使わせてしまうのが問題になるというわけですね。そして、その「コンプリートガチャ」問題に対して、アイフリークはどのように対応するのですか。

鎌田:「コンプリートガチャ」は、それまで各社みなやっていたので、それが標準のようにとらえられていました。しかし、消費者庁やプラットフォーマーからの要請がありました。我々はレギュレーションに従います。いわゆる「コンプリート」という仕組みを一切やめます。

---:ちなみに「ガチャ」を1回するのにかかるのはいくらなのですか。

鎌田: AFTER FIREの場合は1回300円です。

---:ゲームをプレイするには、有料の「ガチャ」が必ず必要なのでしょうか。

鎌田:そんなことはありません。挨拶ポイントをためていけば「ガチャ」ができます。ただし、人気車種はなかなか出ないとか、時間がかかるとか、そうしたところはあります。

---:実際にゲーム利用者の中で、どれくらいの割合の人がお金を使ってるのでしょうか。

鎌田: AFTER FIREの場合でいえば、お金を使う人は数パーセントです。ソーシャルゲームにはARPPUという指標があります。お金を使って頂けるお客様一人あたりの平均単価です。それがAFTER FIREでいえば、月に3000円くらいです。

---:利用者のうちの数パーセントが月に3000円くらい使うというわけですね。

鎌田:他社ではもっとお金を使う人が多くて、また金額は小さいなどとも聞いていますが、 AFTER FIREではそれくらいです。多くの方に広く遊んでいただきたいと思っています。

◆スーパーGTへのスポンサードと海外展開

---:将来の展望としては、どのようなものがありますか。

鎌田:直近で言うと、スーパーGTのシリーズスポンサーとなりました。将来的にゲームの中にスーパーGTのマシンを登場させること、クルマ好きの人にゲームを知ってもらおうという狙いがあります。ゆくゆくはフォーミュラーのスポンサーにもなりたいという考えを持っています。

---:その他今後の展開として考えていることありますか。

鎌田:国内のプラットフォーマーが海外に展開していますので、我々もそれに乗っていこうと。クルマ好きな方は海外にもいらっしゃるので、そうした方々に向けてサービスを展開できればと思います。

---:具体的にはいつごろからになりそうですか。

鎌田:年内にはやりたいですね。少なくとも2013年の3月末までには、なんとかやりたいと思います。基本的にはアメリカと中国、あとはヨーロッパです。ヨーロッパはクルマ好きでゲームにお金を使う方も多いと聞いています。

―ちなみに、なぜクルマのゲームを立ち上げたですか。

鎌田:もともと個人的にクルマが好きだったのです。私は最初は70スープラのNA、次にターボ。その後はギャランVR4。それは相当にイジりましたね。その次はビート。そしてS15シルビア。そして今はレガシィB4です。走る方よりもイジるのが好きで、ダッシュボードを取り払って、自作のボードを取り付けて、そこにメーターを付けたり。FRPトランクを自作したりしました。

---:かなり改造しましたね。

鎌田:私はクルマもゲームも好きで、いままで個人的には楽しんできましたが、携帯のソーシャルゲームにクルマのゲームがあまりなかったのです。そこにちょうどスマートフォンも出てきて、会社として新しいことをやらなければならないタイミングも重なった。であればソーシャルゲームをやりたいです!と手を挙げて、企画を自分で作る際に考えたのが面白いクルマのゲームを作りたい、ということでした。ですから、本当にクルマ業界を個人的にも盛り上げていきたいのです。そういうところをひと役担えればいいなと思っています。

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