レガシィ・ツーリングワゴン2.0GT DIT《撮影 青山尚暉》

ボディサイズもエンジン排気量も、何よりもそのデザインもが「日本市場を“捨てて”しまった!」と、正直そう感じた人が少なからず居たに違いない現行『レガシィ』。

そんな気持ちの沈む“スバリスト”に対して、「これぞ本命」というターボ付きの2リッター新型エンジンを搭載し「2.0GT DIT」グレードが誕生!と喜んだら、「えっ?それってCVT仕様しかないの?」と気が付いてガックリという人も少なくないハズ。

けれども、そうした設定とされた理由は、テストドライブの結果明らかに。というのも、『BRZ』/『86』用ユニットをベースとしつつも、今度は「直噴ヘッドも含めてオール自社開発」というこの新しいターボ・エンジンが備えるパワーキャラクターが、どうにも“CVT向け”と思えるものであったからだ。

昨今世に出るターボ付き直噴エンジンは、すでに1200-1300rpm付近からターボ・ブーストがしっかり効いて、排気量を忘れさせる太いトルクを発するものが少なくない。が、今回レガシィに搭載されたこの心臓は、「ブースト効果が実感出来るのは2300rpm付近から。ホントに効くのは3000rpm以上の領域から…」と、いわゆる“どっかんターボ"とまでは行かないものの意外にもメリハリの効いた、「ターボ付きらしい」性格の持ち主。いわゆる“ダウンサイズ・ターボ"のそれとは印象が異なるのだ。

というわけで、クルージング・シーンではCVTの威力で極めて低いエンジン回転数をキープして燃費を稼ぎ、アクセルONでは今度はCVTがすかさずエンジン回転数を高めてパワフルな加速を演じる、というのが基本の考え方でありそう。なるほどこうなると、このエンジンとMTとの相性は、必ずしも良いとは言えなそう。

フルアクセル時の速さは「さすがは300ps」の実感があるし、フットワークもやはり「さすがは4WDのスバル」らしい仕上がり。けれども、こんなレガシィの走りのテイストは、日本でヒットを飛ばした歴代モデルのオーナーが支持をしたものとは、ちょっとばかり異なるものでもありそう。

「WRX」が築いたラリーフィールドでの栄光イメージはたちまち薄れ、せっかく復活の“2リッター・レガシィ”も、こうして「ちょっと違う」感否めず。BRZが出ても「やっぱりスバルは4WDとターボでしょ!」という、往年の“スバリスト"たちの苦悩はまだ続くのか…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。

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