広汽トヨタ 小椋邦彦総経理《撮影 土屋篤司》

中国中古車市場にいち早くアプローチを始めた広汽トヨタ(GTMC)。e-CRB(evolutionally Customer Relationship Building)導入の真価が問われる。今後の中国攻略について広汽トヨタの小椋邦彦総経理に聞いた。

◆最先端の体制で最新製品を導入するGTMC

---:『カムリ』はトヨタにとっては重要なクルマで、グローバルカーという位置づけです。中国でのモデルチェンジでは、中国からの要望が反映された車両になっているのですか。

小椋:そうですね。中国のお客様特有の好みというものがあります。そういうものがあることを中国に来て私自身、理解しました。新しいカムリはスタイリングも含めて、前、後ろと「どっしり」として「キリッ」としている。特にフロントライトの形などはキリッとしていて、中国のお客様の心を打つようなモデルに仕上がっていると自負しています。動力性能につきましても、安全性能を重視しています。運転中に盲点になるようなところ、バックミラーに見えている領域がすべてではないですから、そうしたところにセンサーを配置して明瞭にしたり、タイヤの空気圧センサーもつけたりしています。中国で安全に運転していきたいというニーズに合致するようなシステムを入れていますので、他国からそのままもってきた、ということとは随分違う、という認識です。

---:ワールドカーのカムリも中国用に適正化されているということですね。日本入ってきているものは中国用と似ています。

小椋:日本仕様はどちらかというとアジア仕様になっています。GTMCには当初からトヨタのリーディングモデルを導入させてもらっています。リーディングモデルを中国に導入できるという幸せな立場です。工場も最新の設備、従業員の方々も吸収が速く、能力的に伸びながら事業を展開しています。

---:カムリは世界中で作っているので、どこの国で作ったものがいいか分かってしまいますね。

小椋:中国で作ったものが一番いいものであるようにがんばっていきます。

---:『プリウス』は一汽トヨタで引き続き、カムリハイブリッドが広汽トヨタ、ということですね。ハイブリッド車は中国政府から見ると新エネルギー車に区分けされていません。『プリウスPHV』の中国投入といった計画はあるのでしょうか。

小椋:環境に優しい車両を中国でどのように投入して行くかは大きな課題です。皆で考えているところです。GTMCにはカムリハイブリッドがありますので、これを中国で普及させていきたいと思っていますが、その後の展開、PHVも視野に入れながらいろいろなモデルの投入をトヨタと共に検討していきたいと考えています。

◆常熟開発拠点が世界の開発拠点になる可能性も

---:広州モーターショー11では、常熟に出来たTMECが新たなトヨタの開発拠点となる中で、GTMC、一汽トヨタのトライアングルをアピールされていました。R&D活動の役割分担はどうなりますか。

小椋:3極の役割分担も含めて今後検討していかねばならないと考えていますが、基本はすでにトヨタが明らかにしていますが、常熟ではエコカーのユニット、基本コンポーネントの開発が中心になっていくと考えています。GTMCのR&D機能としては特に車両の開発を独自に進めていけるように、従業員を含めてレベルアップしていきたい。これは中国政府の期待でもあるでしょうから、3極のうち1極をしっかり務められるように進めていきます。

---:パワートレインも日本とは違う、中国専用のパワートレインを開発するということなのでしょうか。

小椋:モーター、バッテリー、インバーターの3点セットを中心に、常熟のTMECで開発を進めると聞いていますし、そうなっていくでしょう。もしかしたら常熟が世界の開発拠点の中心になっていくかもしれませんし、一番いい方法を検討していくことになると思います。

◆トヨタの中国独自ブランドの展開は

---:ホンダ、日産は中国ローカルブランドを用意しました。これが中国政府の要請でもあるということを聞いています。トヨタにも要請があると思うのですが。

小椋:中国政府のご期待もあると思います。独自ブランドの可能性を検討していますが、具体的な商品としてお見せできるような形にはなっていません。オリジナルブランドの役割、方向性を含めて議論が必要です。広州汽車集団もオリジナルブランドを持っていますから。独自ブランドをどのネットワークで売るのかなど、すぐにお客様に広がるかというと簡単ではないですし、いろいろ考えるべき事があります。政府の要請に対しては出来るだけ沿うように検討はしていきたいです。

---:2011年、『E’Z(イーズ)』を出されました。これは『カローラヴァーソ』がベースの広汽トヨタオリジナルということですが、イーズの投入にあたって、どのような経緯があったのでしょうか。また投入後の市場の反応をお聞かせください。

小椋:イーズは、「FUV」(ファッショナブル・ユーティリティー・ビークル)ということで展開しています。中国も自動車市場が拡大していろいろなお客様が出てきました。若い夫婦などもいらっしゃいますから、家族で買い物、レジャー、そして仕事にもクルマを使いたいと。セダンとしての使い方もしたいし、MPVとしても、さらにはSUVとしても使いたいはずです。そういうお客様が出てくるだろうということで、マルチに使えるクルマを市場に投入しました。いままでFUVといっていなかったものを、広汽トヨタが新たな概念から提供しようという狙いです。

小椋:若い人たちは型にはまったセダンだけでは嫌だと、そしてイーズは7人乗れますから、家族が皆で移動できます。新しい生活スタイルにあった、生活に適応した車両ではないかと考えています。販売店の方々にもイーズの認知に努力していただいていまして、少しずつ、このクルマの良さを分かってもらっています。乗った方々には好評です。実はカムリよりもホイールベースが長いので車室内は広く、お買い得感はあると思います。

---:イーズをはじめ新たな分野にモデルを展開していこうという考えなのでしょうか。

小椋:GTMCとしては「パーソナルプレミアム」というカラーがあります。中国のお客様に対して見合ったクルマを出していきたいですね。。その第一弾がイーズです。モデルを増やすことには積極的です。


(インタビュアー:三浦和也、文責:土屋篤司)

GTMC《撮影 土屋篤司》 GTMC《撮影 土屋篤司》 GTMC《撮影 土屋篤司》 GTMC《撮影 土屋篤司》 GTMC《撮影 土屋篤司》