ダイハツ・ミライース これまで積み上げてきた、身近で親しみある乗り物という考え方と低価格、省資源、低燃費という時代のニーズを両立させた車(阪口氏)。《撮影 内田俊一》

人とくるまのテクノロジー12の自動車技術会春季大会において、デザイン部門委員会企画のフォーラムが開催された。

今年のテーマは「2030・スモールカーでワクワク移動 〜小さなクルマの大きな未来〜」とし、4メーカーのデザイン本部長が講演。ダイハツ工業デザイン部部長阪口庸介氏は「小さいクルマならではの魅力」と題しプレゼンテーションを行った。

まず、阪口氏は、自社の歴史を振り返り、その時々のモデルと、社会の出来事からくる社会的ニーズを語る。そして、「このように歴史を振り返ると、小さなクルマがどのように生まれてきたか、あるいはどうあるべきかが見えてきた。それは、人々の生活に最も近い存在だからこそ、時代を読み取り、先を見据えた革新性を持つことだ。もうひとつは、時代を反映し、時代に愛される親しみある身近な存在として振る舞うこと。この2つが大事な要素ではないか」と話す。

そして、過去の小さな名車である『MINI』やフィアット『500』にヒントを求めると同時に、日本の状況の中で、クルマの捉え方について生活者の目線で調べた。その結果、「合理性、機能性、経済性、情緒性、生産性、社会性。これら6つの魅力が小さなクルマのポイント」だとする。

さらに、クルマ以外の、小さなモノやサービスの魅力について研究した結果、小さなモノの魅力の基本には3つのメリットがあるとする。「それは、ユーザーメリット、カンパニーメリット、ソーシャルメリットだ」。

阪口氏は、「この3つのメリットがベストバランスであることが小さなクルマの本質ではないか」と考えた。そこで、デザインフィロソフィーとして、“スモールバリュー”を策定。「クルマ作りから見た前述の6つのポイントが、ユーザーや社会の関係から見た存在価値としての3つのメリットに集約されることがわかった。これこそが我々が目指したい“スモールバリュー”なのだ」と述べた。

合理性、機能性、経済性、情緒性はユーザーメリット、生産性はカンパニーメリット、そして、社会性はソーシャルメリットにあてはまるという。

最後に阪口氏は、「このような“スモールバリュー”を実現すべく、我々の組織一人一人が、小さなクルマの文化の担い手となって、自覚を持って革新と親しみを作っていきたいと考えている」とした。

ダイハツ工業デザイン部部長阪口庸介氏《撮影 内田俊一》 自動車技術会講演「世界に広げる日本のスモールカー文化」ダイハツ《撮影 内田俊一》 ダイハツ・ミゼット 戦後の高度成長期の初期における、潜在的な需要「小規模事業者向け」という未開の市場をターゲットに開発(阪口氏)。《撮影 内田俊一》 ミニ《撮影 内田俊一》 フィアット500《撮影 内田俊一》