辞任会見に臨む前田国交相(4日・国交省)《撮影 中島みなみ》

4日午前に開催された臨時閣議で、野田佳彦首相は閣僚の辞表をとりまとめた。参議院で問責決議を受けた前田武志国土交通相も辞表を提出した。

前田氏は正午過ぎの会見で辞任の理由を「私自身の不注意がある。省として仕事を進めて行くにあたって、そういうことがブレーキになると国民に迷惑をかけるので、総理のご意志に従った」と、語った。

大畠章宏元国交相の後を受け11年9月2日に就任。在任期間は9か月となった。その間に、八ツ場ダム、整備新幹線、高速道路など、凍結していた案件を次々解除。「コンクリートから人へ」のスローガンを掲げた民主党政権の歴代大臣の方針から転換し、関係する地方自治体との関係修復も図った。

民主党のスローガンに逆行するのではないかという批判もある中で、大臣はどう判断したのか。

「(民主党が)掲げていたのは無駄な公共事業、大きな借金を抱えている中で、税金の使い方に優先順位をつけよう。その場合に公共事業をどんどんやるのではなくて、子育てなど公共事業より優先順位の高いものに使いましょうというのが公約」と、前田氏は前置きした上で、次のように強調した。

「ほかは削るに削って予算も逓減させている。日本の国の持続性を考えると、いちばん肝心要のところは、キャッチフレーズで惑わされてはいけないと考えた」

4月には、東海北陸自動車道など6区間の四車線化工事や新名神高速道路の未着工2区間の再開が発表された。前田氏はこれら道路建設の再開についても「日本の国の持続性」を繰り返した。

「東京外郭環状でも首都圏の環状がつながってなくて、直下型がきたらどうします。つないでおかないと。新名神でもそうです。今ある名神は混雑が非常にすさまじい上に、山科と大津の間に活断層がある。プレートが動くとかなりの確度で直下型地震が起きる可能性があり、それで名神が寸断させると東と西がつながらなくなる恐れがある」

また、八ツ場ダムの工事再開についても、ダムに変わる検討を指示し「私自身は苦渋の決断だった」と述べた上で、次のように述べた。

「利根川流域はたいへん脆弱なんです。その利根川は東京湾に注いでいた。そこでタイの大洪水をみて、首都圏がそうなったら、この時代に持続なんかできない」

政治的判断で施策を進めた大臣だった。

前田武志国交相