M2Mとビッグデータは自動車業界にどんなインパクトを与えるか

野村総合研究所(NRI)は29日、東京国際フォーラムで「ITロードマップセミナー」を開催した。テーマは「最新IT動向と企業情報システムのインパクト」。講演では4人が登壇し、それぞれビッグデータ、M2M、ダイナミック・ケース・マネジメント(DCM)、そしてスマートデバイスが主題となっている。本記事では自動車分野に関連する部分を要約してレポートする。


◆ビッグデータはM2M/スマートデバイスと切っても切り離せない

ITのみならず自動車分野においても、この1、2年で「ビッグデータ」という用語をしばしば耳にするようになった。ホンダが先鞭をつけたプローブ(フローティングカーデータ)による交通情報解析・渋滞回避ルート生成は、トヨタや日産、パイオニアなども追随し、NRIやナビタイムといったスマートデバイス向けのアプリベンダーも提供している。東日本大震災の発生直後、各事業者がGoogleとコラボレーションして通行実績情報マップを提供していたことも記憶に新しい。最近では交通情報だけでなく、CANから得た車両情報をクラウド上に吸い上げて、省燃費や安全のための運転診断や情報解析に活用する事例も出てきている。

自動車分野に例を求めるまでもなく、近年の技術の進歩により、さまざまなデータの収集は容易になった。しかしイノベーション開発部の城田真琴氏は、「データを集め・分析するだけでは意味はない」と断言する。「企業にとって重要なポイントは、ビッグデータをうまく分析して有用な知見を得てビジネスに活かすこと」。そして、「ビッグデータに絡んだビジネスをする場合はスマートデバイスやM2Mの要素が必要で、これらを総合して設計しないとうまくいかない」。

さらに城田氏は、ビッグデータを活用して成功している企業は、専任のデータサイエンティスト(データを分析する人材)を擁するなど、分析結果をビジネスに結びつけるための組織のあり方が重要になっていくと指摘する。またPDCAを高速に回すために、データ・アナリストとビジネス部門、Hadoop(Googleの分散処理アプリケーションの一種)エンジニアとが密接にコミュニケーションをとる必要性も説いた。


◆マシンデータを出発点にしたエコシステム構築を目指せ

つづいて、M2M(Machine to Machine)については情報技術本部イノベーション開発部の武居輝好氏がプレゼンテーションした。

武居氏によれば、センシング/通信機能のモジュール化により、マシンデータ取得環境の構築が容易になってきたこと、スマートフォンに代表されるモバイルデバイスそのものがセンシング機能を持つに至っていることに加え、多様なM2Mクラウドによりさまざまなサービス開発がなされているという。通信モジュールは2008年から2010年までの間に価格が3分の1以下になった。

ここで武居輝好氏はM2Mソリューションとして事例をいくつか紹介する。自動車関連の事例としては、
・スマートフォン内蔵のカメラやGPS、加速度センサーを活用して運転傾向を診断する三井住友海上の「スマ保」
・米国でSprintのセルラーネットワークとWalsh Visionが提供するASPプラットフォーム、そしてAxedaのM2Mクラウドを組み合わせて提供する「Pay As You Drive型」(実際の走行距離に応じて保険料が決まる)の自動車保険「FleetVantage」
・GMが提供するテレマティクス「OnStar」が公開したAPIを利用してサードパーティベンダーが構築した「RelayRides」というカーシェアサービス

などが挙げられた。とくにRelayRidesはテレマティクスのオープンAPIによるほとんど初めての事例と言うことで、注目すべき例だろう。

武居氏は「自社のマシンデータを公開することで、それを取り巻くエコシステムが構築されていく。パートナー企業やサードパーティベンダーに新たなビジネス機会を創出し、マシンデータの価値を向上させることも可能」と述べ、「マシンデータ活用の幅は今後さらに広がっていく。まずはできるところから始めるというのが大事」と初動の重要性を強調する。さらに収集した情報の可視化から、データを元にした予兆の発見、さらには機器の自動制御など、今後向こう5年でM2Mは大きく進化していくという予測も述べた。


◆「分析→仮説→実行→検証」を統合するプラットフォーム…ダイナミック・ケース・マネジメント

次に、イノベーション開発部の田中達雄氏による「エクスペリエンス・テクノロジー最新動向」についてのプレゼンでは、マーケティングの分野で注目を浴びつつある「ダイナミック・ケース・マネジメント」について紹介。自動車業界とは直接のつながりはないが、マーケティングやサービス開発の側面でかなり参考になる事例が紹介されていたので少し詳しく紹介しよう。

田中氏は「ビッグデータから得られた分析結果をどのようにビジネスに結びつけていくか、という視点で考えれば「分析→仮説→実行→検証」というサイクルをいかに短縮して、勝ちパターン(Next Best Offer/Action)を編み出していくか、が重要だ」と述べ、その有望な手法として、ダイナミック・ケース・マネジメント(DCM)が注目されているという。

このDCMとは、「データの発生から実行までをひとつのプラットフォームで実現する」というもので、イベントの検知からビジネスプロセス、ユーザーエクスペリエンス、分析、コンテンツ管理といった一連のフローをワンパッケージでおこなえる。分析の結果に応じて適切なケースを動的に選択して実行し、実装についてはノンプログラミングとしてタスクのボトルネックを極力なくしている点が注目できるだろう。

こうした説明だけでは非常に概念的なので、田中氏が紹介した一例を挙げよう。たとえば、マーケティング分析のために広告のコンバージョンを評価する際、画像や説明文、商品/サービスなど複数パターンを用意し、それらをランダムに入れ替えて表示・送信して顧客の反応を探る。つまりいわゆるA/Bテストをおこない、分析と実装を繰り返して最大の効果を目指すというものだ。ここではUIはWYSIWYG(What You See Is What You Get)で記述され、画面制御や入力チェックはビジネスルールとして記述する。

さらにかみ砕くと、たとえば顧客グループを属性別に1と2というクラスタに分け、1の50%にパターンAの画面表示を、1の残りの50%にパターンBを、2の50%にパターンC、2の残り50%にパターンDを表示して、それぞれの効果を測定する。こうすることで、ユーザーの属性に応じた最適な表示手法を見つけ出すまでのリードタイムを最小化させようという狙いだ。効果の高いものについては表示比率を上げてコンバージョンの向上を狙い、効果の小さいものについては画面を別のものに差し替えてさらなる成果向上を図る。DCMが効果を発揮するのは、実装や分析という局面での属人化を避けて「分析→仮説→実行→検証」のサイクルを高回転で回せるからだ。

このDCM、米国を中心にIBMなど一部の企業からソリューションが展開されつつあるが、実行エンジンベンダーと分析エンジンベンダーの協業・買収の過程にあり、まだ完成の域には達していないという。田中氏によれば、技術的な成熟を迎える2015年前後にはDCMが本格的な普及期に入ると予測している。

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