GARMIN eTrex30J《撮影 山田正昭》

GPSのトップメーカーであるGARMINが自信を持って送り出したハンディGPS、それが「eTrex」シリーズだ。知る人ぞ知るベストセラーeTrexをより使いやすく、より多機能に進化し、そして自慢の測位精度をさらに向上させたこともトピックだ。


◆コンセプトは受け継ぎながらハードウエア刷新

eTrexはGARMINのハンディGPSの中核をなすモデルだ。最近はコロラドやオレゴンといった別シリーズのモデルに主役を譲っていた感があったが、4年ぶりとなるモデルチェンジで一気に存在感を取り戻した。これからハンディGPSを購入するなら、誰でもその候補リストのトップにeTrexシリーズを入れない訳にはいかないだろう。

新しいeTrexは10J、20J、30Jの3モデル。従来から3モデルだったが「ビスタ」「レジェンド」などどれが上位モデルかわかりにくかった名称を、スッキリと整理した。最も低価格なeTrex10Jはディスプレイがモノクロ、eTrex20Jはカラーディスプレイ、eTrex30Jはカラーディスプレイに加えて3軸コンパスや気圧高度計を装備するといった違いがある。

いかにもGARMINらしいのは、GPSの測位精度やロギングできる時間など、ハンディGPSの基本性能といえる部分は3モデルとも全く同一であることだ。したがってどれを選んでも基本性能の部分でがっかりすることはない。


◆単三バッテリーで25時間駆動、無線通信機能も搭載

では、まず本体からチェックしていこう。サイズは高さ103mm・幅54mm・厚み33mmで、重さは電池込みで148g。大きさのイメージとしては、折りたたみタイプの携帯電話くらいだ。これまでのeTrexシリーズとの比較では、高さと幅が少し小さくなり、逆に厚みは少し増えた。いずれも数ミリの違いなのだが、eTrex30Jは丸みを帯びたデザインのためかなり小さく見える。

ディスプレイは176×220ピクセル。画面サイズは35mm×44mmで、一般的なインチ表記に換算すると2.3インチほどだ。最近のスマートフォンのスペックに慣れているといささか物足りない印象があるが、バッテリーライフなどとバランスを取った結果といえるだろう。当然ながらボディは防水で、そのレベルは日常生活防水(IPX7)となっている。

操作はOregonのようなタッチディスプレイではなく、クリックスティックとボタンによって行う。これは従来のeTrexと同じだが、その配置が改善された。本機を手にする右手だけですべての操作が快適にできるようになっている。

バッテリーは単三電池を2本使用し、25時間の連続使用が可能だ。設定の変更によって、エネループのような充電池やロングライフな単三形リチウム電池にも対応する。登山での使用も想定しているので当然といえば当然の仕様だが、このように電源の融通がきくのはありがたい。


◆GPS+準天頂衛星「みちびき」+ロシア版GPS「GLONASS」

さて、新しいeTrexシリーズの最大の特徴がその測位システムだ。GPSによる測位は当たり前だが、これに加えて日本が独自に運用する準天頂衛星「みちびき」、ロシアの衛星測位システム「GLONASS」に対応する。

GPSは説明するまでもまく米国が運用する測位システムだ。これと組み合わせるものとして、一般的には日本版GPSの第一歩ともいえるみちびきの注目度が高い。みちびきは受信可能なGPSの衛星の数が少ないときに、それを補完する信号を出してくれる衛星。たしかにその効果は高いが、しかし本来は3機必要なみちびきの衛星は、現在のところ1機しかない。そのため1日のうち8時間程度しか使えない。

一方、ロシアの衛星測位システム「GLONASS」はGPSに近い規模で運用されていて、常にGPSと同等の数の衛星を受信できる。新しいeTrexシリーズはこの3つの測位システムを同時に使用して、誤差の少ない測位ができるようになっている。「GLONASS」に関しては使用するかどうかを任意に設定でき、使用する場合はバッテリーライフが20%ほど短くなるという。しかし、単純に考えて即位に使える衛星の数が2倍になるのだから、その威力は絶大といえるだろう。

衛星の受信状態は画面で確認でき、その同じ画面に誤差も表示される。今回試した範囲では、誤差2メートルが最低だった。もちろ、GLONASSを使用した場合の数値だ。誤差の半径2メートルというと、自動車の中央に乗っていればその自動車の前後の端までの範囲といったところだから、非常に狭いことがわかる。


◆モデルごとの機能差は?

3モデルがラインアップされているeTrexシリーズの最上位モデルであるeTrex30Jは、ほかのモデルにはない機能が主に3つある。まず気圧高度計。これは山中で高度と地図の等高線を突き合わせて現在位置を知るのが主な用途で、上空が開けていなくてGPSの誤差が大きいときに使うが、本格的な登山以外ではあまり出番はない機能といえる。2つ目は3軸コンパス。これは本体を斜めにしても正確に方向を示せるコンパスで、本体を水平にしないと使えない普通の電子コンパスより格段に使いやすい。

3つ目の機能は意外なもので、なんとワイヤレス無線機能だ。対応機器やANT+機器と通信ができ、これによりハートレートセンサーやケイデンスセンサーと組み合わせてフィットネス用GPSとして使ったり、ほかの機器の登録ポイントを転送するといったことが可能だ。

丸みを帯びたデザインで、外周部はラバーで覆われている。衝撃にも強そうだ。《撮影 山田正昭》 右側面には電源/lightボタンとbackボタンがある。裏面に貼り付いているように見えるのは車載用のブラケットなどに固定するための出っ張り。《撮影 山田正昭》 右側にはmenuボタンと地図の拡大、縮小ボタンがある。ボタンはすべてこのようにラバーで覆われていて、押すのには少し力が必要だ。《撮影 山田正昭》 電池を外すとMicroCDカードストッロがある。《撮影 山田正昭》 右手で持てばすべてのボタン、スティックに指が届く。すべての操作を片手でできるのは歩きながら使うときなどに非常にありがたい。《撮影 山田正昭》 衛星の受信状況はこのように表示される。みちびきは受信できていないがGLONASを多数補足し、誤差は2メートルになった。《撮影 山田正昭》 電波状況の悪い室内に移動すると誤差は9メートルに。ここでGLONASを使用しない設定にしてみる。《撮影 山田正昭》 GPSのみの即位では誤差が20メートルに増えた。GLONASの効果は明らかだ。《撮影 山田正昭》 本体を斜めにしても使える3軸コンパス。《撮影 山田正昭》 気圧高度計による高度の計測。校正は必要だが、条件がよければ誤差5メートルくらいで高度を測定する。《撮影 山田正昭》