レクサス GS《撮影者 松下宏》

最初に『GS』の写真を見たときには、スピンドルグリルを強調したものだったため、あまりにどぎつすぎる印象とのを持った。

しかし実際にクルマを見ると写真ほどのどぎつさはなく、それなりの個性と存在感のあるデザインに思えた。最初に違和感を持った人もすぐに慣れると思う

ボディはほぼ従来並みのサイズに抑えながら室内空間を拡大している。GSは後席空間を指摘されることが多かったから、それに応えたものだ。最小回転半径はわずかに大きくなったが十分に許容範囲である。

走りは方向性を変えてきたなという印象を与えるものだった。これまでのGSは静かさや滑らかさというレクサスブランドならではの価値を強く表現していたが、今回のGSはダイナミックなパフォーマンスを志向する方向へと舵を切ってきた。

ワインディングを走らせるとそのスポーティさが良く分かった。中でも「GS350」に新設定の「Fスポーツ」はLDHと呼ぶ4輪操舵のシャシーシステムの効果もあって、優れた操縦安定性や回頭性の良さを発揮した。乗り心地も快適さを追求するだけでなく、安定性を重視したものになっていて、高級セダンというよりもスポーツセダンの印象だ。

走りの方向性を変えるのと同時に、静粛性については多少レベルを下げ、積極的に走らせているときにはエンジン音やロードノイズが一定程度に聞こえてくるようにしている。クルマを走らせていることの実感が得られる音環境だ。もちろん高速クルージングなどでは十分に静かなクルマである。

新しいGSは走りのパフォーマンスはとても良くなったが、問題は環境性能にある。GSのガソリン車はエコカー減税はおろかエコカー補助金の対象にもなっていない。エコカーの範囲に入らないようなクルマが今どきのクルマといえるのか。

競合する欧州車が、エンジンのダウンサイジングや多段化したAT、アイドリングストップ機構などによって燃費の向上を図っていることを考えたら、GSが対応すべき課題はいろいろあると思う。

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

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