29日に発生した関越自動車道のツアーバス事故の運行指示書が、貸切バス会社「陸援隊」(千葉県印西市)に、そもそも存在しなかったことが、2日に行われた国土交通省関東運輸局の監査でわかった。

運行指示書の作成は、道路運送法によって定められている。運行指示書とは、バスが何時にどこを出発してどのようなルートを通って帰社するかを、貸切バス会社が運転手に指示する書類。

貸切バス事業者の運行管理者が作成し、運転手に指示しなければならないが、運行管理者と整備管理者を兼務する同社の針生裕美秀(はりう・ゆみひで)社長(55)は、それを怠っていた。

針生社長は「東京ディズニーランドまで行って、そこにいる旅行業者(ハーヴェストホールディングス)の誘導員から工程表を受けて受け取るように指示した」と、監査の中で話しているという。

しかし、それがそもそも法令違反だった。

「運行指示書は旅行業者が作成できる立場にない。運行指示も口頭で行うものではない。運転手に書面で手渡し、運転者はその行程の間、携帯しなければならないもの。指示そのものが適切に行われていない」(自動車局安全政策課)

当初、自動車運転過失致死傷容疑で群馬県警に逮捕された運転手、河野化山(こうのかざん)容疑者(43)は、運行を委託した「ハーヴェストホールディングス」(大阪府豊中市)の運行計画からはずれて遠回りしていたとされた。北陸道から上越JCT(ジャンクション)で上信越道に入るところを、北陸道を東進、長岡JCTから関越道に入ったというものだ。

ところが、そのルートを決めるべきは、貸切バス事業者の陸援隊のはずで、運行指示書が存在しない状況で、ハーヴェストホールディングスがルートを外れていたとは言えなかったことになる。

針生社長から河野容疑者への指示は口頭により目的地を伝えただけの大ざっぱなもので、貸切バス会社としてのルート指示を行っていなかったことになる。

観光庁はハーヴェストホールディングスへの立入検査を、陸援隊と同じ2日に行っているが、当日夜の会見では「ヒアリングと収集した関係書類の中味を精査しているところ」と、言及を避けた。