イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》

ランドローバー『レンジローバー・イヴォーク』はコンセプトカーを無理やり公道に持ち出したようなインパクトあるSUVだ。

2/4ドアがあるけれど、やっぱりよりカッコいいのは2ドアの「クーペ」のほうだ。最強の大人のデートカー、カップルズカーと言うべきか。

で、さっそくクーペの上級グレードの「クーペ・ダイナミック」に試乗。タイヤは245/45R20と超大径。これがまたイヴォークに似合う。巨大なタイヤハウスにちょうどいいバランスだ。インテリアはもちろんレンジローバーたる上質さと品の良さに包まれる。ドライブセレクターはジャガーさながらのポップアップ式。オシャレだ。

走りだしてしばらくは1900mmの車幅、レンジローバーらしくない車両感覚のつかみにくさ、巨大なドアミラーによる斜め前方の死角、実測天地18cmほどしかないリヤウインドーの視野の狭さに戸惑う。悪路じゃこれはマズいが、イヴォーグは極悪路をはい回れてもはい回りたくなるようなクルマじゃない。ボクの場合、乗り始めた翌日には車庫入れなどけっこう慣れた。

フォード製2リットル直噴ターボエンジンは素晴らしく速く、素晴らしく静かだ。発進はレスポンスよく超軽快。車重をまったく感じさせない。そしてそこからはレンジローバーの名に恥じない加速力と、6000回転まで回しても不快なノイズとは無縁の静粛性に圧倒される。ステアフィールは20インチタイヤ装着もあってクイックでダイレクトだ。

乗り心地は20インチタイヤとは思えない快適さに惚れ惚れさせられる。さすがレンジローバー、硬めながらフラットかつ大人っぽい乗り心地に徹している。さすがに「テレインレスポンス」をダイナミックモードにセットするとゴツゴツ感は増すが、メーターリングのLEDは赤く発光し、パワステはズシリと重くなりさらにシャープに。レンジローバーとしては軽量なボディ、2リットルエンジンの恩恵でノーズは軽く、SUVであることを忘れさせてくれるほどコーナリングが楽しい。フットワークはほとんどスポーティカーに匹敵する。

夜のイヴォークはさらにドラマチックだ。8インチのタッチスクリーンディスプレイのメニュー画面にある「ムード照明」(本当にそう書いてある!)からピンクを含む、5色のムーディな照明が選べるし(センターコンソールの下部分)、家に戻りクルマから降りるとき、ドアの下を照らしてくれるのはよくあるウエルカムホーム機能だが、イヴォークはそこに一筆書きのようなイヴォークのイラストが浮かび上がる。何てオシャレな演出だろう。イヴォークはちょい乗り試乗じゃ分からない、仕様を悩みに悩んで買った人だけが日々発見し楽しめる機能満載なのである。後席だって想像以上に広く実用的だ。

それで価格は450万円〜。全天候型スーパーカーと呼びたいイヴォークは超お買い得でもある。ただ、ペットフレンドリー度は高くない。わが家の大型犬のように自身でクルマに乗り降りする場合は荷室フロア高、シート高ともに高すぎる。しかも、内装の仕立てが高級すぎて乗せるには気が引けてしまうってもんだ……。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。

イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》 イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》 イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》 巨大なホイールアーチには20インチタイヤがちょうどいいバランス。《撮影 青山尚暉》 イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》 イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》 イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》 イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》 イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》 イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》 245/45R20タイヤ。《撮影 青山尚暉》 インパネ回りの質感、高級感の高さはさすがレンジローバー。大人の世界。《撮影 青山尚暉》 イヴォーク・クーペダイナミック《撮影 青山尚暉》 メーターは2連のコーン型。《撮影 青山尚暉》 後席は身長172cmのドライバー基準で頭上に110mm、膝回りに160mmの充分なスペース。《撮影 青山尚暉》 後席乗降のためのウォークイン用前席シートスライドスイッチ。《撮影 青山尚暉》 Aピラー回りの死角はこの巨大なドアミラーのせい。《撮影 青山尚暉》 リヤウインドーの視野は狭い。《撮影 青山尚暉》 8インチタッチスクリーン式ディスプレイ。《撮影 青山尚暉》 6ATのドライブセレクターはダイヤル式。ジャガーのようにエンジンONで上がってくる。《撮影 青山尚暉》 荷室は開口地上高735mm、奥行き790mm、幅990〜1085mm。トノカバー下の高さ495mm。《撮影 青山尚暉》 夜、降車時に地面に映し出されるイヴォークのイラスト。《撮影 青山尚暉》