シボレー ソニック《撮影 太宰吉崇》

GMが世界王者に君臨し続ける理由は、北米市場が巨大だからではなく、早くからグローバル展開を目指した姿勢の結実と言える。『ソニック』はそれを証明する1台だ。GMのグローバル展開が生産販売のみならず、研究開発においても効果を発揮していることを立証している。

グローバル視点のものづくりでは個性が薄まるのでは? と考えるのは万人への配慮をしすぎる日本人的思考だ。早くから世界展開を実践してきたGMは、どこを万人向きとし、どこを個性的にするかというメリハリをわきまえている。
 
4050×1740×1525mmのボディサイズは、ヨーロッパのBセグメントの平均レベルにある。しかしシボレー伝統のグリルと丸形ヘッドランプからなるダイナミックなフロントマスクは、他の何者にも似ていない。情緒的なヨーロッパ車に対して、IT製品を思わせるハイテク感あふれるスタイリングが新鮮だ。
 
それでいてキャビンは後席にも身長170cmの人間が座れ、右ハンドルのドライビングポジションは自然で、装備品やシートの作りを含めて、気になる癖はない。個性的なデザインと万人向けの機能を両立するという、現代のものづくりで大切な定義をしっかり押さえている。
 
1.6リットル自然吸気エンジンとトルコン式6速ATで前輪を駆動するパワートレインもまた、誰もがスッと入り込める種類のものだ。国産車から乗り換えても違和感を抱くことはないだろう。でもシャシーのセッティングは国産のライバルとは明らかに違う。アメリカ的でもない。
 
ひとことで言えば欧州車的で、乗り心地は固めながら、サスペンションがしっとりストロークしてショックを吸収してくれる。ステアリングの反応はかなりクイックで、ロールも抑えられているが、グリップには粘りがあるので、キビキビした動きを安心して楽しむことができる。
 
世界に通用するパッケージングとユーティリティを備えながら、走りについては現代のトレンドであるヨーロッパ車を範とし、デザイン面でアメリカンブランドであることをアピールしている。個性を押しつけるのではなく、押し殺すのでもない、国際経験豊かなGMらしいサジ加減に世界戦略車の意味を教えられた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。

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