羽村市役所前を出発するEVバス。《撮影 石田真一》

東京都羽村市が10日から市内コミュニティ路線向けに、全国で初めて定期運行を開始したEVバス。日野自動車が既存の小型バス『ポンチョ』を改造し、EV化したものだ。羽村市に続き、今月20日からは墨田区内でも1路線で同型車の運行が開始される。

今回導入された車両は、運行に必要最小限となる小型のバッテリーを搭載し、減った分のみを短時間で充電するという「短距離走行/高頻度充電」をコンセプトに開発が行われている。

ベース車の価格が約2000万円であることに対し、EVタイプは約8000万円と非常に高額となっているが、開発を担当した日野自動車・製品開発部の新倉孝昭参事は「パワートレインが現状では非常に高額で、中でもバッテリーの占める割合は大きい」、「理想とするバッテリー性能は今の10倍ぐらいですが、そうしたモノがまだ市場にありません」と語る。

羽村市内でEVバスが投入される路線はほぼ平坦。コース中で渋滞が発生することもないが、運行中にエアコンを回したり、頻繁なドア操作があった場合、一運行終了後のバッテリー残量は60%程度となる。20日から導入される墨田区内の路線では、渋滞が頻繁に発生する道路を通行するため、必然的にストップ&ゴーが多くなり、一運行終了時のバッテリー残量はこれを下回ることが予想されている。

「使った分を急速充電で補うことが前提であり、それをクリアできることを見越して導入しているが、本音としてはもうちょっとマージンがあった方が運行側としても安心できる。満充電発進時の航続距離30kmというのはまだまだ短いが、これを延ばしていくのが今後の目標。今よりも高性能で、安価なバッテリーが市場に出てくるようになれば車両性能も良くなり、車両価格も下がるだろう」と新倉参事は言う。

羽村市で導入されたのが1号車、墨田区が2号車となり、いずれもドア2枚タイプのロングボディ。EVパワートレイン自体はショートボディであっても搭載は可能だという。

羽村市の他路線で導入されているディーゼルエンジン車はショートボディだが、「販売実績の多いロングボディで開発を進めてしまったためであり、ショートボディでは作らなかった。羽村市や実際に運行する西東京バスにはその点を理解してもらった(新倉参事)」とのこと。羽村市は他車両とあわせるために後部ドアは閉めきり扱い。墨田区では使用するという。

短距離走行/高頻度充電がEVバスのコンセプト。《撮影 石田真一》 1回の運行ごとに20分間の充電が必要となる。消費した分をその都度で補う。《撮影 石田真一》 1回の運行(約7km走行)で通常は30%程度のバッテリーを消費。エアコンを入れたり、乗車人数が多いと消費量も大きくなる。最初の運行では50%を割り込んだ。《撮影 石田真一》 型式認定は受けておらず、通常のポンチョを改造したものとなる。《撮影 石田真一》 充電は急速充電と通常充電に対応。拠点となる羽村市役所では急速充電。バス車庫では通常充電となる。《撮影 石田真一》 車内にはステータスモニターも設置されている。《撮影 石田真一》