羽村市内を走行するEVバス「はむらん」《撮影 石田真一》

10日から東京都羽村市がコミュニティバスとして、全国初の定期運行を始めたEVバス。同市内に製造拠点を持つ日野自動車が既存車両(『ポンチョ・ロング』)をベースにEV化したものだが、パワートレインもコミュニティバスに特化したものとなっている。キーワードとなるのは「短距離運行/高頻度充電」だ。

今回のEVバス導入にあたって設定された新ルートは全長7.4km。急速充電設備を備えた羽村市役所を起点に40分掛けて走行。一巡して市役所に戻った後は20分間の充電を行い、次の運行に備える。車両に搭載されているのはIHI製のリチウムイオンバッテリーで、セルはアメリカ(A123社)製。満充電で出発したとしても、その航続距離はわずか30kmしかないという。

車両開発を担当した日野自動車・製品開発部の新倉孝昭参事は「バッテリーは運行に必要とな最小限のものを搭載することで、バッテリー自体を小型・軽量化し、あわせて低価格化も図っている」と説明する。

これはEVを研究する早稲田大学の紙屋雄史教授が提唱している「短距離の運行かつ、高い頻度での充電が可能な環境であれば車両自体のスペックも切り詰めることができ、EV導入のハードルが低くなる」という理論に沿ったもの。これを採用していることもあり、ベースとなった小型バスにもEVシステムの搭載が可能となった。

「今回導入した車両もコースを一巡すると30〜40%ほどのバッテリー消費となるのですが、その減った分のみを20分間の充電で補います。短い区間をほぼ一定のペースで走るコミュニティバスだからこそ成し得た(新倉参事)」

バッテリーをフルに使い切らず、減った分のみをこまめに充電し、そのバッテリーが持つ「おいしい部分のみを使う」ということで、バッテリーの長寿命化もあわせて図っている。現状ではバッテリー価格が非常に高額であるため、バッテリーの寿命を可能なかぎり延ばすことが重要だという。

車体にはEVバスを示すロゴが描かれている。《撮影 石田真一》 前面デザインは通常の『ポンチョ』とは異なる。《撮影 石田真一》 開発を担当した日野自動車・製品開発部の新倉孝昭参事。《撮影 石田真一》 バッテリーはリチウムイオン。セルはアメリカA123社製。《撮影 石田真一》 羽村市で使用されるのは第1号車、バッテリーカバーにもそれを示す表記が。《撮影 石田真一》 モーターはアメリカUQM社製。《撮影 石田真一》 モーター出力は最大200kW、最大出力は900Nm。《撮影 石田真一》 運転席は通常のポンチョと同じ。バッテリーメーターが追加されている。《撮影 石田真一》