走行後、チーム無限のスタッフや山本尚貴とディスカッションする佐藤琢磨。

3月5日、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの今年最初の公式合同テストが三重県・鈴鹿サーキットで始まった。雨のために午前の走行が中止になるなどしたが、佐藤琢磨は今季終盤のスポット参戦に向け、限られた状況のなかで手応えを得たようだ。

開場50周年ファン感謝デーを週末に実施した鈴鹿サーキット。日曜からの雨はこの日も続き、まず午前10時30分からの第1セッションの中止が決定。午後3〜5時の第2セッションも前半はヘビーレインと言っていい状況で、コースアウトする車両も……。このセッションは2度の赤旗中断を経ての進行となった。それでもセッション終盤には“まともなレインコンディション”くらいまでは回復。琢磨もコースに入って17周を走行し、ベストタイムは1分51秒538で9番手だった(エントリー17台で16台が走行)。

実質走行時間が非常に限られたものとなったため、順位云々を議論する意味はない。問題は内容だ。走行を終えた琢磨は、その後30分近くもマシンのそばでチーム無限のスタッフと、僚友ドライバーの山本尚貴を交えてディスカッションを続けた。途中、一度は解けかけた人の輪が再び集まり直して続いたほどの、熱気あるミーティング。それを終えた琢磨の表情は充実感に満ちていた。

「昨日(デモレース)に続いての雨なので、昨日みられたマシンの症状への対策を、尚貴と2台で方向性を分けてトライしたりできました。それぞれに成果はあったと思いますよ」。すでにチームとしての戦略的なアプローチを取れる次元で仕事ができていたのだ。充実感ただよう表情にも納得である。

Fニッポン3年目、昨年の開幕戦鈴鹿ではポールポジションも獲得している若手精鋭の山本も、琢磨との仕事を経験して「やっぱり琢磨さんは持っている情報量が豊富です。使っている言葉の次元が違う」と感心しきり。「こうしてやり取りできるのは貴重な経験だと思いますし、(マシンを)レベルアップさせられるヒントのようなものも得ることができました。琢磨さんには本当に感謝ですね」と、こちらも充実感たっぷり。

米国インディカー・シリーズが自身の主戦場である琢磨は、スケジュール的に2日目(翌6日)の参加ができないため、今回の鈴鹿テストは初日一本勝負。「明日も雨みたいですから、チームは今日得られたデータを尚貴のマシンに活かして走ると思いますよ。クルマづくりという部分で、少しチームのお手伝いができたと思いますし、(50周年イベント参加も含めて)とても充実した鈴鹿での3日間でした」。明日、琢磨はアメリカへと発つ。

次にFニッポンマシンに乗れるのは、シーズン終盤の「レースウイークですよね」ということで、スポット参戦実現までの半年間はFN09・ホンダのコクピットを離れなければならない琢磨。しかし、前日のデモレース“第0戦”とこの日の雨中テストという限られた状況のなかで一定の充実感を得られたことは、スポット参戦本番に向けて重要な意味をもってくるはずだ。チャンピオン争いをかき回すくらいの大立ち回りを演じてくれることを期待しながら、彼の帰りを待ちたい。もちろんインディ初優勝を成し遂げての“Fニッポン凱旋参戦”となることも期待しつつ。

なお、この日のベストタイムは塚越広大(ダンディライアン・ホンダ)がマークした1分50秒492。鈴鹿でのテストは翌6日も継続され、第2回公式合同テストは3月20〜21日に富士スピードウェイで実施される。そして注目のFニッポン開幕戦は4月14〜15日、鈴鹿サーキットでの開催だ。

チーム無限は今回の鈴鹿テスト初日に2台体制で参加。左が山本尚貴車、右が佐藤琢磨車。 チーム無限の山本尚貴。今季は初優勝を目指す。 有望な若手、山本尚貴(中央)にとっても経験豊富な佐藤琢磨との共同作業は実りあるものに。 Fニッポン鈴鹿テスト初日は雨。 開場50周年記念イベントに続いてのFニッポン公式合同テスト突入となった鈴鹿サーキット。 ナカジマ・ホンダの中嶋大祐はFニッポン2年目を迎える。