BMW3シリーズ(欧州仕様)

BMW『3シリーズ』を試乗する前に撮影をしようとして、駐車場で位置決めしながら、思わず声を上げてしまった。「アラウンドビューモニターじゃん」。インパネ中央のモニターに、真上から見たときの車両周辺の画像が映っていたからだ。

あとでインポーターの人に聞いたら独自開発とのことだが、先代に続いてドアハンドルを専用設計として全幅を1800mmに抑えただけでなく、世界最先端のモニタリング機能まで搭載してきた。ジャパンパッシングが懸念されるからこそ、ここまで日本市場のことを考えた装備を盛り込んできたBMWの姿勢がうれしかった。

それでいて全長を4625mm、ホイールベースを2810mmに伸ばしたおかげで、室内は「FRだから」という言い訳が不要の広さを手にした。デザインはキープコンセプトだけれど、顔つきは昨年の東京モーターショーにも展示されたハイブリッドスポーツ『i8』コンセプト風にするなど、新しさもきっちり演出している。

一方で走りの楽しさの演出は、これまでよりドライになった印象だ。「328i」を名乗りながら、2リットル直列4気筒直噴ターボエンジンを積んだことが大きい。35.7kgmの最大トルクをわずか1250rpmで発生するというスペックどおり、速さに不足はないが、アクセルを踏み込んだときに聞こえる音はやっぱりあの直列6気筒とは違う。

アクティブステアリングを止めた操舵系は、旧型よりもおだやかな切れ味。その後はホイールベースとトレッドの拡大も手伝って、ひたすら安定しきってコーナーを抜けていく。一瞬の楽しさよりも、結果としての速さを重視したようなハンドリングだ。

エンスー的要素はやや薄れたかもしれないけれど、カッコいいし、室内は広くなったし、装備は最先端だし、走りはいいしと、どこをとってもいいクルマ。「噛みしめる歓び」という表現が似合うかもしれない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。

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