2号機圧力容器底部温度上昇について説明する松本純一原子力・立地本部長代理(12日・東電本店)《撮影 中島みなみ》

福島第一原発2号機の原子炉圧力容器の底部温度が80度以上に上昇し、東京電力は原子炉施設保安規定の「運転上の制限」を逸脱していることを発表した。12日17時の会見で説明した。

圧力容器底部には、円形の容器の外周に沿って角度で0度、135度、270度の3か所に温度計が設置されている。温度上昇を示したのはそのうちの1つで、0度の場所に設置された温度計だ。2月1日23時の時点で52度だったが、2日頃から緩やかに上昇を始め、12日11時の時点で75.4度に達した。

そのため東電は溶解した核燃料が連続して核分裂を起こす「再臨界」を防止する措置として、同日11時38分から約2時間半ほどホウ酸水の注入を実施。また、原子炉冷却のための注水量を全体で1時間当たり17.4立方mと、それまでの2倍に増加して冷却に努めたが、温度計が示す温度上昇は止まらなかった。

第一原発の当直長は14時15分の時点で82度に達したと判断したが、17時現在でも上昇を続けている。

ただ、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「全体的に冷却は順調に進んでおり、冷温停止状態は維持できている」と述べ、再臨界の可能性を否定した。

松本氏はその理由として、格納容器内のガスサンプリングで得られた結果、核分裂で発生するキセノン135が再臨界判定基準(1Bq/cm3)を超えず、検出限界未満で未臨界であると判断できること。放射性セシウム134、137も検出限界未満であることを上げた。

また、注水量の増加に伴って、圧力容器周りの他の温度計が示す温度は下がっていることや、温度上昇を示している温度計が示す温度を1秒ごとに取り出してみると、12日正午頃から振幅の幅が10度以上と非常に大きくなっていることなどから「計器の指示不良の可能性が、確信を持っていえるようになってきた」(松本氏)と、話した。

しかし、温度計が故障していると判断できるのは、他の温度計が示す温度との乖離がさらに広がり、上昇をし続けた場合だけだ。今後、注水量の増加に比例して、この温度計の温度が下がり始めた場合は、温度計の故障と断定がし難くなる。

松本氏は「このまま温度がさらに上がり続けるなら他の温度計と比較して不良の可能性が高くなるが、逆に注水量に応じて温度が下がるとほうが判断に悩む」と、原因の断定には含みを持たせた。

原子炉施設保安規定では、圧力容器の底部温度は80度以下に保たなければならないと定めている。実際に温度上昇が続く状態が続く場合、再臨界を起こす可能性もあり、政府が発表した原子炉の冷温停止状態が根本的に崩れる可能性がある。