船体の横断面

三菱重工業は、船舶の復原力回復装置、同装置搭載のロールオン・ロールオフ一般貨物船(RORO船)を開発し、初号船を日本通運グループの日本海運から受注した。

新開発のRORO船は、海上人命安全条約(SOLAS条約)の改正により2009年1月に航行時の安全性に関する規制が強化されたことを受け、同社独自の工夫により転覆リスクを軽減した。同社では同装置を搭載した高付加価値船舶の受注に注力する。

復原力回復装置の搭載対象となるのは同規制が適用される新造船で、RORO船のほか、自動車専用運搬船(PCTC)、フェリーの3船種への搭載を想定する。多数の車両を搭載できるように船楼の上部を大きく確保していることから予備浮力も大きく、高速航行するため、喫水線下はシャープな船型を持つ。これらの船種を対象に低コストの装置を目指して開発した。

航行中に損傷した際、浸水した海水を船底部の空所(ボイドスペース)に導く設備を設けることで重心を素早く下げる。損傷により低下した復原性を高めることで転覆リスクが軽減される。

具体的には、海水を導入する空所はフィンスタビライザー室、ダクトキール(ダクト構造を採用した竜骨)、バラストタンクなどの区画で、別の機能を持つ区画と兼用させる格好で船底部付近に確保する。各区画に対して海水の導入孔を設けるほか、必要に応じて空気抜き管などを船内適所に配置することにより、損傷時など非常の場合に迅速、確実な注水・重心低下を実現するとしている。

同装置の採用により、船内の車両積載スペースを小区画に分割するなどの措置が不要になるため、積載車両台数を減らすことなく規則強化前と同様に船内の車両移動などが円滑に行える。

受注第1号のRORO船は、船長170mでトレーラーシャーシ約170台、乗用車約100台を積載し、船速は23ノット、従来の同クラスRORO船に比べ燃費を約10%改善した省エネ船型。同社の下関造船所(山口県下関市)で建造し、2013年3月に引き渡す予定。

復原力回復装置の概念図