秋山製作所(オートモーティブワールド12)《撮影 高根英幸》

充電設備などのインフラはさておき、EV本体の性能アップを考えると、車両重量はネックだ。そんな中、バッテリーと並ぶ重量物であるモーターの重量軽減につながる技術をオートモーティブワールド12で見つけた。

出品していたのは秋山製作所(埼玉県熊谷市)。自動車メーカーにシャフト類を納入する専門メーカーだ。

同社が実現したのは中空構造の軽量シャフト。これをモーターのローター軸に使うことで大幅な軽量化が図れると言う。「自動車メーカーは、EVやハイブリッドのモーターを作るメーカーに『もっと軽量化してくれ』と要求していますが、モーターメーカーは『これ以上はできない』と答えています。でもシャフトを中空にすることで、かなり軽量化は果たせるんです」と同社の社員は語る。

確かにコイルや磁石を減らせば、トルクも減ってしまうので難しいが、シャフトは寸法への要求と強度に対する要求のレベルが違うから、プロペラシャフトのように中空構造にすることで軽量化はできるはず。

とはいえ、プロペラシャフトと比べ格段に精度を要求されるモーター用シャフトを中空にするのは、容易ではない。秋山製作所で軸の中間を中空にして、両端部分を中空パイプに摩擦圧接することで1本のシャフトに仕上げているが、従来の摩擦圧接の方法では精度が0.6mmまでが限界で、シャフトとして使える製品を作ることはできなかったそうだ(ちなみに摩擦圧接とは文字通り、物質同士を摩擦させることにより、そこで発生する熱で溶かして一体化させる溶接の一種である)。

そこで全く異なる方法で摩擦圧接させることにより、寸法精度を0.05mmにまで高めることに成功したのだとか。この方法を確立するまでに5年の開発期間を要したという。

展示されている中空シャフトは、従来の中実シャフト(3.25kg)と比べ、同じ寸法でも半分以下の1.55kgになっているそうだ。秋山製作所ではこの中空シャフトの製法だけでなく、品質を保証するためにダイナミックバランスや内部構造の亀裂などの欠陥を検出する検査体制まで確立していると言う。

強度面で素材を鋼から変えることはできなくてもアイデアと技術で、まだまだ軽量化はできる。そんな気にさせてくれた展示だった。

秋山製作所(オートモーティブワールド12)《撮影 高根英幸》