深井製作所ブース(オートモーティブワールド12)《撮影 山田清志》

金属の中でも柔らかいアルミニウム。その薄板は人間の力でも簡単に曲げることができる。ところが、ある工夫を施すと、剛性が高まり、曲がりにくくなるというのだ。

そんな技術を開発したのが、栃木県足利市に本社を構える深井製作所だ。自動車部品を手掛ける中小企業で、地理的な関係から富士重工業との取引が多い。同社が行った工夫は、アルミの薄板に六角形の特殊なエンボス形状をプレスすること。それはまるでハチの巣のようだ。まさしく目から鱗の発想といえる。

「こうすることで、30%薄くしても、元の材料とほぼ同等の剛性を維持できるのです。すでに、燃料タンクの遮熱板として使われています。今後は、ボディ関連の部品での採用を目指していきたい」と同社関係者は話した。この技術は鋼板にも適用できるという。

現在は車両の軽量化を目的に、この技術は注目されているが、同社は中小企業のため、完成車メーカーが進めているグローバル調達にはなかなか対応できないそうだ。そこで、同社はこの技術の特許を取得、興味を持つ企業にそれを提供し、ロイヤリティを得ることを考えている。

新素材を使わなくても、知恵と工夫でこれまでの素材の可能性を広げることができる。深井製作所の例は、その典型といえるだろう。

深井製作所ブース(オートモーティブワールド12)《撮影 山田清志》 深井製作所ブース(オートモーティブワールド12)《撮影 山田清志》