ソニックデザイン Sクラス サウンドスウィート

冷たい外気でも空調の効いた車内は心地よい。カーオーディオからはトニー・ベネットとアンドレア・ボッチェッリがデュエットする「ストレンジャー・イン・パラダイス」のメロディが流れ、ウィンドスクリーンごしに拡がる蓼科の冬景色に、潤いを帯びた二人の声が溶け込んでいく…。

車窓を流れる大自然を眺望しながら音楽を友にしてのドライブは楽しい。ましてやそれがナマの音を彷彿とするハイクォリティサウンドなら、ホームオーディオ、あるいはコンサートやライブとも異なる、カーオーディオならではの悦びが味わえる。

そんな音楽好きを誘ってくれるハイクォリティカーオーディオの代表格『ソニックデザイン』が、メルセデス・ベンツの純正オプションとして採用され、驚異の高音質がマニアでなくても手に入れられるようになった。


◆純正のインテリア・機能性はそのままに、音質を極めた『サウンドスウィート』

ソニックデザインは先代の『CL』『CLS』クラスにおいて『台数限定の特別仕様』として採用された実績(2010年)をもつが、その好評を受け昨年6月に新型CLに『CL サウンドスウィート』がオプション設定され、11月にはSクラスとEクラスにも専用の『サウンドスウィート』システムが用意されるようになった。

ありきたりのカーオーディオの音に満足しないマニア層は、昔から自分のクルマを専門ショップに持ち込み高音質な『市販カーオーディオ』を取り付けていたが、それらは音質重視のあまり、クルマ本来の機能を犠牲にしたり、車内のインテリアの雰囲気を壊してしまうものがほとんどだった。しかしソニックデザインは違った。オーディオとクルマが好き好きでたまらない人たちが立ち上げたメーカーだけに、その製品は音質追求のみに偏ることなく、常にクルマ本来の性能・機能を損なわない配慮が見られた。


◆純正オプションゆえの品質と信頼性、そして保証

そのソニックデザインの最新の精華であるサウンドスウィートは、メルセデス・ベンツ日本の全面協力のもと、装着車両ごとに車体形状や車室内音響特性に合わせて最適化した専用スピーカーとデジタルプロセッサーアンプを開発、純正装備のDVD/CDプレーヤーやミュージックレジスター、ラジオ、音声認識カーナビゲーションなどの機能はそのままに(操作も純正COMMANDコントローラーなどで純正同様に行なえる)、音質のみを徹底的に極めたカーオーディオシステムだ。

E/S/CLクラス専用のオプショナルサウンドシステムとして、メルセデス・ベンツ日本から全国のメルセデス・ベンツ正規販売店ネットワークを通じて販売され、Eクラス用が175万円、Sクラス用が295万円、CLクラス用は390万円(いずれも税込価格)。新車登録前にソニックデザインの専任技術者によって架装され、その後に改めてメルセデス・ベンツ日本の新車整備センターで入念なチェックおよび整備を受けてから登録・納車される。そのため、通常のメルセデス・ベンツの新車と同等の保証(メルセデスケア)を日本全国の正規販売店ネットワークで受けることができるのも、サウンドスウィートならではの特徴といえる。


◆「匠の技を要求するこだわりをもったお客さまに向けた製品」

これほど大胆な商品企画がなぜ可能になったのか? メルセデス・ベンツ日本の商品企画とマーケティングを統括する豊生浩一マネージャーによると、「ソニックデザインを装着したメルセデス・ベンツを聴いて、オーディオは専門外の私にも、明確に音質の違いが認識でき、そのことに驚きました。歪みが少ないためでしょうか、音がとても透明で、ハイエンドといわれるオーディオシステムのもつ侮りがたい実力、魅力を実感できたのです。これなら音楽やオーディオに対してひときわ感性の鋭いお客さまに納得・満足していただけると確信しました」と、きっかけはよい音を実際に体験したことだと教えてくれた。

「その上ソニックデザインは、純正システムとの親和性がよいことにも感銘を受けました。いままでの私の認識では、高音質オーディオシステムを装着しようとすれば、純正のオーディオ/ビジュアルシステムやナビゲーション機能は犠牲にせざるを得ないと思っていました」(豊生氏)。ソニックデザインの兼田弘喜商品企画部部長は「ソニックデザインには『ソノリバイブ』という独自のインターフェース技術があるため、メルセデス・ベンツ純正のソースユニットとソニックデザインのシステムをハイクォリティを維持したままドッキングできるのです」という。

豊生氏も「クルマの完成度を損なうことなく高音質オーディオが楽しめることは、オプションとして採用した大きな理由のひとつです」と絶賛する。

ソニックデザインの兼田氏は「サウンドスウィートは、スピーカーユニットを直接ドアやラゲッジルームにマウントするのではなく、エンクロージュアに装着していることも重要なポイントです。取り付けるドア形状に合わせて超精密鋳造したアルミダイキャスト製エンクロージュア『ソノキャスト』を使用しているので、一般的なカー用スピーカーのように、ドア内側やトランクルーム内にスピーカーユニット背面からの音を放射しません。そのため、ドアや内装材の防振処理などの追加施工が必要がなく、純正同様に各部のメインテナンスが実施できるところも評価していただきました」という。また、「エンクロージュアに装着することで、スピーカーユニット本来の性能を十全に引き出すこともできます。車外への音漏れが抑えられるのも大きなメリットです」(兼田氏)と、エンクロージュアの効用を強調する。

メルセデス・ベンツ日本の豊生氏も、「われわれとしても、過去、経験のない高価なオプションですが、匠の技を要求するこだわりをもったお客さまに向けた製品ですから、受け入れていただけるに違いありません」と期待は高い。


◆純正化で検証工程を簡略できるため、音質に一切妥協することなくコストダウンを実現

サウンドスウィートの嚆矢といえる『ザ・スウィート』(2009年発表)は、ソニックデザインが1台のクルマのために完全オーダーメイドでシステムを開発・生産・架装するコンプリートシステムで、800万円(税込)という価格も話題になった。いまは受注を中断しているようだが、個人でEクラスやSクラス用のシステムをソニックデザインに特注した場合、いままでなら800万円の請求書が届く。 カーオーディオ専門店に依頼しても、おそらくサウンドスウィート以上の価格になるだろう。

ソニックデザインの兼田氏はそのへんの事情について、「ザ・スウィートは1台限りの完全オーダーメイドシステムですが、サウンドスウィートは違います。さらに、メルセデス・ベンツ日本から車両に関する技術情報を開示してもらえるようになったため開発時間が大幅に短縮できたことも、この価格が実現できた大きな要因です」と秘密を明かしてくれた。単純にコストダウンを図ったわけではないのだ。


◆ショーファードリブン・モードで激変する音場…Sクラス サウンドスウィート

Sクラス サウンドスウィートを昨年の東京モーターショー会場でお聴きになった方もいるかもしれないが、ドライバーズシートのみならず、後席乗員の着席状況に応じてそれぞれのシートで最高の音質が得られる『ショーファードリブン・モード』の搭載も話題を集めた。これは専用設計のデジタルプロセッサーアンプの音質・音場設定機能を利用して、左後席/右後席/後席2席でそれぞれ最適なリスニング環境が得られるように各種パラメーターがプリセットされ、ロングホイールベース仕様ではシートベルトの装着状態を検出して、着座人数に合わせた最適なサウンドセッティングに自動切替えしてくれる(標準ホイールベース車では手動切替えとなる)。

停車中の後席でシートベルトを外した状態で聴いてみると、ダッシュボードの下あたりから適度な響きを伴った音楽が流れてきて、ちょうどコンサートホールの2階後方の席で聴くような臨場感のサウンドが楽しめる。これはこれで心地よいが、ソニックデザインの真価が十全に発揮されたとはいえない。

そこでシートベルトを装着すると状況が一変する。まるで演奏者が自分の目の前に現れたかのように、立体的なサウンドステージが展開する。もちろん、運転席に座っても同じような感覚が味わえるが、Sクラス ロングは車室内空間が広いこともあって、響きの豊かな音をゆったり楽しむための究極のサンドシステムという印象だ。


◆積極的にリスナーに訴えかけてくる音…Eクラス サウンドスウィート

これに対してE350ブルーテック ステーションワゴンは、クルマの性格の違いがサウンドにも反映されている。自分が運転しながら聴くのに最適な、積極的にリスナーに訴えかけてくる音だ。まるでステージにかぶりついて聴くような印象で、プログラムソースに収録された微細な音まで克明に描写する分解能の高さは、ハイエンドカーオーディオならではの魅力といえよう。

両車をより厳密に比較すると、車室内空間の大きさとそれに起因するスピーカーエンクロージュアの設計の自由度ゆえだろう、Sクラスが低音の量感で優る。しかしEクラスは、リアドアのアディショナルウーファーとメインスピーカーとの絶妙な位置関係が功を奏して、より引き締まった低音で緊密な一体感が感じられる。もちろん、音のバランスやレンジの広さ、歪みの少なさ、分解能の高さ、楽器や声の質感の正確な再現などなど、オーディオシステムに要求される基本性能に問題はない。それに加えてミュージシャンの『情感』すら描写できる能力を備えているところはさすがソニックデザインだ。

クルマとしての完成度は超一流のメルセデス・ベンツだが、オリジナルでは満足しない顧客のためにAMGのコンプリートカーが用意されているように、純正カーオーディオでは物足りない『耳の肥えた』ユーザーにとっては、サウンドスウィートは魅力的な選択肢のひとつになるだろう。

メルセデス・ベンツ日本 豊生浩一マネージャー《撮影 雪岡 直樹》 ソニックデザイン Sクラス サウンドスウィート ソニックデザインの兼田弘喜商品企画部部長《撮影 雪岡 直樹》 メルセデスベンツEクラス サウンド スウィート カー&ホームオーディオ評論家 黛健司氏《撮影 雪岡 直樹》 スピーカーユニット《撮影 雪岡 直樹》 メルセデス・ベンツ日本 豊生浩一マネージャー(左)と黛健司氏《撮影 雪岡 直樹》 メルセデスベンツEクラス サウンド スウィート 車内の識別点はソニックデザインのロゴがグリル部にロゴが配される程度《撮影 雪岡 直樹》 メルセデスベンツ E350 サウンドスウィート《撮影 雪岡 直樹》 メルセデスベンツ E350 サウンドスウィート《撮影 雪岡 直樹》 リアエンブレムにサウンドスウィートのロゴプレート《撮影 雪岡 直樹》 メルセデスベンツ E350 サウンドスウィート。インテリアは純正そのまま《撮影 雪岡 直樹》 メルセデスベンツ S550 サウンドスウィート《撮影 雪岡 直樹》 メルセデスベンツ S550 サウンドスウィート《撮影 雪岡 直樹》 メルセデスベンツ 純正オプション サウンドスウィート《撮影 雪岡 直樹》 純正クオリティの最高峰カーオーディオ「サウンドスウィート」をEクラス&Sクラスで味わう……黛健司