富士経済は、報告書「2012年版バイオマス利活用技術・市場の現状と将来展望」をまとめた。

2011年8月から11月にかけてバイオマス利活用市場を原料調達から変換技術、参入企業動向までヒアリング調査を実施し、今後バイオマス事業の展開に当たって重要な要件を提示し、国内での関連産業の可能性とグローバル化する市場実態を考察したもの。

調査では、農業系、林業系、畜産系、水産系、廃棄物系、作物系の各バイオマス原材料を対象とした。バイオマス利活用技術では、バイオマス直接燃焼ボイラ、炭化/バイオマス固形燃料化装置、バイオマスガス化装置/プラント、バイオエタノ−ル化プラントなどから、最近注目を集める藻類培養関連技術と高性能林業機械まで11品目を調べた。

バイオマス由来製品では、バイオエタノール、バイオマスプラスチック、バイオマス由来電力など7品目を調べたほか、海外市場や国内中央官庁、自治体の動向なども捉えた。さらにアルケマ、JFEエンジニアリング、タクマなど主要バイオマス企業17社の事業例も調べた。

調査結果によると世界的に見てバイオマスを燃料、エネルギーとして利用する動きは活発化しており、さらにバイオマスをケミカル原料とするバイオマス装置・プラント開発への取り組みも進展しつつある。バイオマス市場は、分散型エネルギー源としての注目度が高まり、技術開発の進展と利用ニーズの合致、特に支援体制の本格化で再び新たな成長期を迎えると予測する。

2009年度のバイオマス利活用技術と製品の国内市場は停滞し、特に技術ではリーマンショックの影響で設備投資が凍結・延期され、商用案件がなく、また新規技術はコスト面などの課題があり、商用化が困難だった。一方で海外、特に東南アジアの農業残渣系バイオマス分野でエネルギー化、燃料化のニーズが高まり、日系企業も積極的に現地計画に参加、受注し始めた。

2010年度は前年の反動やバイオ燃料の導入が本格化して前年から72.8%の伸び、1218億円の市場となった。特にバイオエタノールは、ETBE(エチルターシャリーブチルエーテル)に合成してガソリンに添加して二酸化炭素排出量を削減する動きが進み、501億円と前年度の4.6倍に増加、市場全体を牽引した。

2015年度の全体市場は2010年度から111.7%増加して2579億円市場を予測する。

東日本大震災でエネルギー供給の脆弱性が露呈した。その中でバイオマスエネルギーは、分散型エネルギー源として注目度が高まってきた。2012年度以降「再生可能エネルギー法(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)」の施行により、バイオマスエネルギーの利用増加が予測される。林地残材などの未利用バイオマス原料が同法の適用対象となる可能性が強く、林内路網整備や林業機械整備などを進め、山から林地残材などを供給し易い環境が整えられ、エネルギー化施設が増加していくと予測する。

バイオマスプラスチックは、ポリマーの種類の拡大と機能性向上、価格低下など製品として普及する条件が整っているため、大幅な市場拡大を予測する。2018年度頃には藻類・微細藻類を利用するバイオ燃料の実用化が期待されており、バイオマスの種類、利活用技術の広がりがさまざまな波及効果を生み市場として大きく成長していく見通し。

関係法令も、国産材利用促進といった川上の支援策から、固定価格買取制度による川下支援体制まで整えられつつある。2011年度には2004年度施行の「バイオマスタウン構想」を引き継ぐ「バイオマス活用推進基本計画」が決定され、農林水産省をはじめ関連省庁のバイオマス予算が回復しつつある。また、再生可能エネルギー法成立に伴って太陽光発電、風力発電など再生可能エネルギー関連の予算が急増している。さらに2012年度予算の概算要求には、東日本大震災復興予算として復興地域循環資源徹底利用促進事業、再生可能エネルギー利活用促進事業などが加えられて大幅な予算拡大が予想されるとしている。

一方、注目市場の一つであるバイオエタノール市場は、バイオエタノールの直接混合方式で販売されたものとETBEとして販売されたものをすべてエタノール換算して算出したところ、2010年度の市場は37万kL、501億円と前年比4.6倍となった。

石油元売8社で運営するJBSL(バイオマス燃料供給有限責任事業組合)によるETBE混合のバイオガソリンの販売量が飛躍的に伸びた結果で、2015年度には1190億円の市場規模に達すると予測する。

現在は、石油業界が進めるETBEと政府が進めるバイオエタノールの直接混合方式が混在している。2010年度の流通量は、ETBEが37万kLとほとんどを占めていたが、消費者にとってはE3(エタノール3%混合ガソリン)か、またはETBEの混合ガソリンのどちらを使用するのか混乱が続いており、国内のバイオ燃料導入政策を統一する必要がある。

車両についてはE10(エタノール10%混合ガソリン)対応車への取り組みがスタートしており、バイオエタノール導入量の増加は確実視されている。バイオマス由来製品で共通する課題は、製品の低価格化、販売体制の構築(原料調達や需要先の確保)、製品の高品質化など。地球温暖化防止対策、資源の有効活用の観点からも重要な位置付けにあり、市場拡大が予測されるとしている。