データはこのように最大4つまで同時に表示でき、このような画面を3画面まで作成してスクロールさせることができる。

GARMINが2011年秋に日本へ正規導入をスタートしたトレーニングウォッチ『ForeAthlete 610』はブランニューモデルではあるが、実質的には従来の最上位モデルのForeAthlete 410をベースにしていると考えていいだろう。それを踏まえて使ってみると、全体的に完成度が高くなっているのが印象的だった。


◆操作性・精度・使い勝手…完成度も向上

例えばGPS。このモデルからGPSチップが変更になったのか、明らかに感度が上がっている。ForeAthlete 410からHotfix機能が搭載されたので衛星の補足は非常に速くなったが、本機ではHotfixを使えないコールドスタートでもかなり速い。そのため使わないときは躊躇なく電源を切れるようになった。

また、充電に使うケーブルが変更になり、今まではクリップでボディを挟むように装着していたのが、マグネットでカチッと装着できるようになった。クリップ方式はしっかり固定したつもりでも失敗していることがあったが、マグネット方式は簡単確実で非常に使いやすい。

ディスプレイの表示も変わっており、データの表示エリアが3つまでだったのが4つに増えた。ランニングウォッチに表示したいデータといえば走行距離と経過時間、走行ペースの3つは外せないが、表示エリアが3つだとこれでいっぱいになってしまう。4つあれば、最後の1つには心拍数なりラップ数なり好きなデータを表示できる。このプラス1は意外と大きく、筆者はこのおかげで走行中に画面をいちいち切り替える必要がなくなった。

意外といえばもう一つ意外だったのが、バイブ機能だ。iPodなどで音楽を聞きながら走る人向けの機能で筆者には無関係と思っていたのだが、試しに使ってみると非常に便利だった。

各種のアラートは電子音だけだと聞きのがしてしまうことがあるのだが、バイブなら絶対に気がつく。しかも周りに聞こえるような音を出さない。これが意外に快適で、並走者が多いジョギングコースでも遠慮なく各種のアラート機能を使うことができる。電子音だと隣を走っている人がピクッと反応してしまうことがあり、遠慮してしまうのだ。


◆過去の自分と対戦できるリアルパートナーがついに搭載された

GARMINのランニングウォッチにはバーチャルパートナーという機能がある。予め設定したペースで走るランナーが画面に表示され、仮想的なペースメーカーになってくれる機能だ。ForeAthlete610ではこれに加えてついにリアルパートナー機能が搭載された。

リアルパートナー機能は『Edge 800』などのサイクルコンピューターに搭載されているバーチャルパートナー機能に相当するもので、過去の自分と競争できる機能だ。アップダウンのあるコースでは一定速度で走る競争相手だと、上り坂では追いつけないし、下りでは簡単に追い越してしまうといったことが起きる。しかし、リアルパートナーは自分が走った時のペース配分が再現されるので、どんなコースでも白熱した競争ができる。

ちなみに、GARMINのランニングウォッチやサイクルコンピューターでは、一定ペースの仮想ランナーが走る機能も、過去の自分を再現してくれる機能も、同じバーチャルパートナーという機能名になっていたり、あるいはバーチャルトレーナーという用語も使われるなど、やや混乱していた。ForeAthlete 610では一定ペースの機能がバーチャルパートナー、過去の自分の再現がリアルパートナーと、分かりやすい機能名に改められている。

さて、そのリアルパートナーだが、これまでサイクルコンピューターには搭載されても、ランニングウォッチには搭載されなかった。このForeAthlete 610で待望の初搭載となったのだ。個人でのトレーニングでは初期の熱意を持続するモチベーション維持が何より大切だが、同時にこれは非常に難しい。リアルパートナーはそのモチベーション維持に比類ないほど大きな効果がある。

まず1回走ったら翌日はそのデータをリアルパートナーに設定して競争。勝てたら、つまり自己ベストを更新できたら翌日はそのデータを新たなリアルパートナーに設定し、負けたなら同じデータに再び挑戦する。これを続けていけば、毎日白熱したレースができ、タイムも伸びていくはず。むしろ、オーバーワークにならないように注意が必要なほどだ。

さらに、リアルパートナー機能は後述するGARMINコネクトからデータをダウンロードして使うことも可能。つまり、ほかのGARMINユーザーのデータを使うことで、他人と仮想的に競争することができるのだ。同じコースを走らなければならないので使えるデータを見つけるのはなかなか難しいが、皇居や大きな運動公園のようなランニングコースを走っている人なら同じコースのデータを見つけられるだろう。


◆机に置くだけでクラウドサービスにアップロード

ForeAthlete 410で好評を得て本機にも採用されたのが、ワイヤレスでのデータのアップロードだ。パソコンに付属のUSB ANT+スティックを挿し、GARMINが運営するWebサイト「GARMIN CONNECT(ガーミン・コネクト)」のアカウントを取得、簡単なセットアップをしておく。あとは、トレーニングが終わったら机の上などパソコンの近くに本機を転がしておくだけで、トレーニングのデータがGARMINコネクトにアップロードされる。これは本当に快適だ。

GARMIN CONNECTはトレーニングのデータをアップロードしておけるクラウドサービスであり、GARMINユーザーのソーシャルネットワークでもある。GARMINのランニングウォッチを使うにあたって必須ではないのだが、あえて利用しない理由は何も無い。もちろんすべてのサービスは無料で利用できる。

GARMIN CONNECTにデータをアップロードしておけば、ランニングウォッチやパソコンが壊れてもデータが消える心配はないし、買い換えをしても面倒なデータの移動やコンバートをする必要もない。また、GARMIN CONNECTはデータ分析ツールとしての機能も兼ねているので、データをグラフ化したり走行ルートを地図上で確認したり、あるいはそれを自分のブログに貼り付けるといったこともできる。

さらに、ソーシャルネットワークとしての機能、エクスプローがある。エクスプローではほかのランナーが公開しているトレーニングデータを都市名などで検索することができ、各データは詳細データを参照したり、ダウンロードしてForeAthlete 610のリアルパートナーとして使うことも可能だ。


<写真610-14>
データはこのように最大4つまで同時に表示でき、このような画面を3画面まで作成してスクロールさせることができる。

1画面のデータの個数を減らして文字を大きく、見やすくすることもできる。カスタマイズ性は非常に高い。 簡易的ながらナビ機能も搭載している。スタート地点を指定しておけば、その地点の方向と直線距離を表示できるので、慣れないコースで万一道に迷っても、スタート地点に帰れるというわけだ。 自動ラップ機能は1kmごとなど一定の距離ごとにラップを計測したり、周回コースでは1周してスタート地点に戻ると自動的にラップを刻むようにすることができる。 バーチャルパートナーの画面。上が仮想のランナーで、下が自分。この表示例ではペースを6分/1kmに設定してあり、70m、24秒先行していて、現在自分は停止中。 リアルパートナーの画面。こちらは過去の自分が相手なので、走行距離、目標となるタイムが予め決まっている。また、ゴールすると自動的に計測が止まり、自分でストップボタンを押す必要がない。 過去の自分より遅くなると、このような表示と共にバイブで教えてくれる。これが非常に闘争心を刺激する。 トレーニングが終わったら本機をパソコンの近くに置いておく。それだけでなんの操作もしなくてもデータがアップロードされる。パソコンにもとくに表示はでないが、専用の常駐ソフトであるGARMIN ANT Agentのダイアログを表示すればアップロードの様子がわかる。 GARMINコネクトにアップロードしたデータはこのように表示される。非常に見やすく、複数のデータの比較なども可能だ。 エクスプローラーで地元近くの他のユーザーの走行データを検索。以前はなかなかいいデータが見つからなかったが、最近は非常にユーザー数が増えて見つけやすくなった。 挑戦したいと思うデータが見つかったら、自分のForeAthlete 610にそのデータをダウンロードして、顔も知らぬそのランナーと競争することができる。 【GARMIN ForeAthlete 610 インプレ後編】トレーニングの効果をアップさせる機能盛りだくさん この手の製品は派手なデザインが多いが、GARMIN製品は例外的に非常に落ちつ対デザイン。見た目は地味なスポーツウォッチという趣だ。 14mmの厚みはそれなりにボリウムを感じさせるが、形状が適切なので細い腕でも無理なく装着できる。ForeAthlete410に付属していた布製の交換用ストラップが本機には付属しないのは残念。 タッチパネル搭載といっても側面には合計3つのボタンがある。金属製のボタンの周囲からわずかに青い防水パッキンが見えており、ステンレス製の裏蓋とあわせて高級感がある。 裏面には充電用の電極があるほか、モデル名などが印刷されている。全体に質感、高級感を上げようと努力している演出が伺われる。 付属のUSB ANT+スティック。ちょうどUSBメモリのような外観だ。これをパソコンに挿しておくことで、ワイヤレスでのデータのアップロードができる。 付属のチャージングケーブルのアタッチメント部分。マグネットで裏蓋に貼り付くようになっている