【GARMIN ForeAthlete 610 インプレ前編】タッチパネルで機能向上した最高峰のトレーニングウォッチ

GARMINのランニングウォッチに加わった最上級モデルが『ForeAthlete 610』だ。ランニングウォッチに求められるあらゆる機能を詰め込み、快適な操作性をも獲得した贅沢なモデル。このジャンルで先頭を走るGARMINならではのフラッグシップだ。

◆ライバルを圧倒する多機能を誇るフルスペック機

以前はマイナーな存在と言わざるを得なかったランニングウォッチ。しかし、ここ数年で数多くのメーカーが参入し、今やちょっとした人気商品となっている。その背景に根強いジョギングブームがあることは当然だが、そんなブームの以前から優秀なランニングウォッチを発売し続け、ユーザー層を広げてきたメーカーの努力があることも事実だ。

その努力してきたメーカーの一つがGARMINであることに、異論を差し挟む人はいないだろう。フィンランドのポラールと並んでランニングウォッチだけでなくサイクルコンピュータの分野でも市場を引っ張ってきた。とくにGPS搭載タイプのランニングウォッチについては、ほんの少し前までGARMINがオンリーワンの存在だった。今でこそ参入メーカーが増えて珍しくなくなったGPS搭載ランニングウォッチだが、GARMINはそのパイオニアとして切りひらいた新しいカテゴリといっていいだろう。

そのGARMINのランニングウォッチの最新、かつ最上級のモデルがForeAthlete 610だ。次々に登場する他社のGPS搭載ランニングウォッチに対して、GARMINが出した回答はライバルをあらゆる面で凌ぐフルスペック機だった。

ForeAthlete 610はランニングウォッチとしてほとんど考えられる機能のすべてを搭載したうえで、タッチパネルというランニングウォッチ初の機能を採用。さらに、バイブレーション機能やサイクルコンピュータとしても使える多機能性など、ライバルを確実に上回る性能を発揮する。その一方で、標準価格は4万9800円と、多くのライバルより高価であることは否めない。万人向けと言うよりも最高を求める人のためのフラッグシップ機といえる。


◆タッチパネルだけではない確実に進化したハードウエア

では、ForeAthlete 610のアウトラインをチェックしていこう。まず外観だが、第一印象ではかなり大きく見える。しかし、じつは従来の最上位機種である『ForeAthlete 410』よりも小型化されているのだ。410が幅48mm、縦71mm、厚み16mmであるのに対して、610は幅46mm、縦64mm、厚さ14mmとなっている。これは大幅な小型化といっていいだろう。バイブレーション機能のような物理的にスペースを取る機能を追加しながらこの小型化は、特筆に値する。

小型化されたとはいえシンプルなライバルに比べれば依然として大振りであることは否めないが、女性の細い腕に装着してもなんとかフィットするギリギリのサイズではあるといえるだろう。装着感を考えるうえでは縦のサイズが重要で、これが7mmも小さくなったことが効いている。ではなぜ第一印象で大きく見えたかというと、ひとつは重量が410の60グラムに対して72グラムと重くなっているため。これはボディ裏面に堅牢なステンレスを採用したためと思われる。

大きく見えるもう一つの理由は、その本体デザインだ。タッチパネルを採用した関係からそのパネルの直径を可能なかぎり大きくしており、ベゼルがデザイン的なアクセントになっていた410よりも平坦なデザインになった。そのため大きいように錯覚してしまうのだ。

そのタッチスクリーンは液晶ディスプレイよりも一回り以上大きく、タップだけでなくスワイプも可能。もちろん水に濡れても誤作動しないようになっている。ちなみに本体の防水性能はIPX7相当。雨や汗には十分だし水洗いもできるが、水泳やダイビングには使えないと考えたほうがいい。液晶ディスプレイは128×128ピクセルの解像度で直径は1インチ(約2.5センチ)となっている。

バッテリーライフは約8時間で410と変化ないが、時計モードでは4週間と、410の2倍に増えた。充電は専用のチャージングケーブルを使ってコンセントやパソコンのUSBから給電する。ただしパソコンへのデータの転送は付属の「USB ANT+スティック」によりワイヤレスで行えるので、ケーブルを繋ぐ必要はない。

基本的な機能は、ランニングのタイム、コース(距離)ペース、ラップタイムなどの測定、記録のほか、ペースメーカーの役割をしてくれるバーチャルパートナーおよびリアルパートナー機能、50種類のデータから最大4種類のデータを選んで表示できるカスタマイズ機能など。

なお、本機はセンサー類を一切付属していないが、これはセンサーが不要という意味ではない。本機を購入する人がすでに各種のセンサーを所有している場合に重複しないための配慮と考えるべきだ。もちろん本機単体でも十分以上の機能を発揮してくれるが、やはり最低でも心拍を測定するハートレートセンサーは必須と考えたほうがいいだろう。

ほかに対応するセンサーは、GPSの電波をロストしても走行データを測定し続けるためのフットポッド、自転車用のスピード&ケイデンスセンサー。いずれもANT+規格なので、GARMINの純正オプションだけでなくANT+準拠の他社製品も使用できる。ちなみにANT+はフィットネス機器のワイヤレス接続の規格で、GARMINが提唱し、現在では標準規格といえるほど普及している。


◆タッチパネルの操作感は秀逸!! トレーニングの質が上がる

実際に使ってみた。何より気になるのはやはりタッチパネルの操作感だ。とりあえず色々と操作してみると、最初はその感度が鈍いことに驚いた。チョンと触るだけでは反応せず、ちょっと押すくらいの気持ちでないと操作できない。しかし、すぐにこれは意図的な設定なのだと気づいた。トレーニング中で息が荒い時などは、チョンチョンと触るような細かい操作はできない。むしろグイグイと押すくらいの感覚の方がやりやすく、誤操作も少ないのだ。そういったことと、水濡れを考慮してこのような感度設定になっているのだろう。

数日使ってみて、このタッチパネルは想像以上にいいと感じた。筆者はこれまでトレーニングを始めたらランニングウォッチには極力触らないようにしていた。というより、触る気にならなかった。面倒な操作でトレーニングのリズムが乱れるのは嫌だし、操作に手間取れば汗が引いて体が冷えてしまうことさえあるからだ。しかし、本機のタッチパネル操作ならトレーニング中でもいろいろな操作をする気になれる。

例えば走り始めてからバーチャルパートナーのペースが速すぎたと感じたとき、今までならそのまま我慢して走ってしまうが、本機ならすぐに設定変更しようという気になるし、実際、簡単にできる。臨機応変にいつでも最適なトレーニングを設定することができるので、トレーニングの質が向上する。

もちろん、タッチパネルが全てにおいて万能というわけではない。直感的な操作ができる反面、タッチパネルの宿命として誤検知もそれなりにある。だから、もし2〜3年前に本機を使っていたなら、「タッチパネルは頼りなく使いにくい。クリック感のある物理ボタンのほうが快適」と評価していたかもしれない。

しかし、評価する自分の価値観がこの数年で大きく変化した。筆者はスマートフォンを使い始めてからすっかりタッチ操作に慣れてしまって、タッチ操作ではないカーナビや携帯電話を操作すると非常にじれったく感じるほどだ。これは筆者に限らず多くの人にとって同様だろうし、GARMINもそういった変化を読んでいたからこそ、このタイミングでタッチパネルを採用したのだろう。

この手の製品は派手なデザインが多いが、GARMIN製品は例外的に非常に落ちつ対デザイン。見た目は地味なスポーツウォッチという趣だ。 14mmの厚みはそれなりにボリウムを感じさせるが、形状が適切なので細い腕でも無理なく装着できる。ForeAthlete410に付属していた布製の交換用ストラップが本機には付属しないのは残念。 タッチパネル搭載といっても側面には合計3つのボタンがある。金属製のボタンの周囲からわずかに青い防水パッキンが見えており、ステンレス製の裏蓋とあわせて高級感がある。 裏面には充電用の電極があるほか、モデル名などが印刷されている。全体に質感、高級感を上げようと努力している演出が伺われる。 付属のUSB ANT+スティック。ちょうどUSBメモリのような外観だ。これをパソコンに挿しておくことで、ワイヤレスでのデータのアップロードができる。 付属のチャージングケーブルのアタッチメント部分。マグネットで裏蓋に貼り付くようになっている このように取り付けて充電する。充電時間は2時間半〜3時間程度となかなか速い。 いわば待機状態といえる時計モード。この状態では消費電力の大きいGPSなどは使わないので、4週間のバッテリーライフがある。 トレーニングを始めるにはタッチパネル、つまりガラスにタッチする。するとこのようなアイコンが表示されるので右から左にスワイプする。このあたりはスマートフォンの影響を受けているインターフェースだといえるだろう。 起動するとGPSを受信して数秒で使える状態になる。ちなみに本機のGPSアンテナは、ランニングしている状態で上を向くように本体の下部に内蔵されている。復帰時も上下を逆にしたほうがGPSの受信が速い。 タッチパネルの下端をタップするとメニューが表示され、左端はいわゆる「戻る」機能になっている。この画面は下端をタップしてメインメニューを表示したところ。 タッチパネルの操作はこのような感じになる。タップすべき項目が指先より小さかったりするのだが、インターフェースはよく考えられていて、無理矢理タッチパネルにしたという雰囲気は感じない。