ホンダN BOX標準車《撮影 青山尚暉》

ホンダがもう一度、軽自動車に力を入れる。その第一弾が『N BOX』だ。

気合の入れようハンパじゃない。新プラットフォーム、新エンジン、そして『フィット』譲りのセンタータンクレイアウトまで採用。コンセプトはズバリ、ミニミニバン。ボックス型ミニバン『ステップワゴン』の軽自動車版だと思えばいい。

エクステリアデザインは「これが軽?」と感じるほど堂々。ボディ上側を絞っていないデザインゆえだ。そして圧巻なのは軽乗用車最大の室内空間。『アコード』並みのシートサイズを持つ前席のドラポジはまさにミニバンの見晴らし感覚。後席は身長172cmのドライバー背後で頭上に230mm、膝回りに410mm(ダイハツ『タント』最大400mm、スズキ『パレット』最大345mm)もの、広いにもほどがあるスペースがある。

しかし、驚くのはまだ早い。それだけ室内前後方向のゆとりを持ちながら、荷室の奥行きは何とタントの300mm、パレットの345mm(いずれも後席最後端位置)を大きく凌ぐ395mmもあり、18リットルのポリタンクが4個入るのだから凄い。ホンダらしいパッケージの革新、魔法である。後席をごく低く格納すると3人+自転車の乗車、積載も可能。室内高は大人が少しかがんで立てるほど高いのだ。さらに後席はスライド機構を廃したことでチップアップも可能。後席部分は着替えも楽々できる子供用のワンルーム(!?)と化す。

安全装備の充実ぶりは目から鱗。全車に車両安定装置のVSA、ヒルスタートアシストを標準化。ライバルにはない!! NAモデルにはアイドリングストップ、おなじみECONモードも完備。10-15モード燃費は標準車の場合24.5km/リットルだ。

そんなN BOX標準車の乗り味は軽快、爽快そのものだ。ただ、「カスタム」系と違いフロントスタビライザーを持たず足回りがやや硬めに設定され、エコスペシャルな転がり抵抗重視の13インチ80タイヤを装着しているため、路面によってはゴツゴツしたタッチと上下動が伝わり、フラット感に欠けるのが残念。

NAエンジンはCVTとのマッチングの良さもあって車重に対して必用十分の加速力を発揮してくれるものの、軽量・コンパクト化のため新エンジンのブロックをあえて薄くしたことと、全体的な静粛性が高いことが重なり、ちょっとノイジーに(ライバル並み)感じられる。とはいえ、毎日乗っていればすぐに慣れると思うけどね……。

全グレードを試乗できないユーザーのために付け加えると、単純に乗り心地面の良さで言えばカスタムターボ(15インチタイヤ)→カスタム(14インチタイヤ)→標準車の順である。

ところで、N BOXのペットフレンドリー度は軽自動車最上級だ。とにかくフロアが低く段差なく、愛犬はスライドドア(ステップ高380mm)、開口部が圧倒的に低い荷室(開口部高480mm/タント595mm、パレット535mm)の両方から楽々飛び乗れ、飛び降りることができる。後席を低くフラットに格納すれば大型犬2頭が横になれるほどのスペースさえ出現するのだから愛犬も大喜び必至。軽自動車界の“モースト・ペットフレンドリーカー”に認定したい!

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★


青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組も手がける。

スライドドアはフリードより大きい《撮影 青山尚暉》 ホンダN BOX標準車《撮影 青山尚暉》 アクセルペダルはライフより70mm前にあるため室内長の余裕が生まれた《撮影 青山尚暉》 メーター回りには各種インフォメーションが充実《撮影 青山尚暉》 アコード並みのサイズを持つ前席《撮影 青山尚暉》 広大な後席膝回り&フロア空間《撮影 青山尚暉》 後席《撮影 青山尚暉》 後席はパレット、タントと違い足引き性抜群。《撮影 青山尚暉》 荷室《撮影 青山尚暉》 後席格納状態。やや段差がある《撮影 青山尚暉》 サイドビューサポートミラー(内側)「ピタ駐ミラー」と呼ばれる《撮影 青山尚暉》 サイドビューサポートミラー(外側)《撮影 青山尚暉》 後方視角支援ミラー バック時に威力を発揮《撮影 青山尚暉》