「SA・PA旅グルメフェア」には2年かけましたと、東武百貨店下平哲也プランナー《撮影 中島みなみ》

デパートと高速道路、異色の企業が共同開催する高速道路グルメフェアは、いかにして実現したのか。東武百貨店と東日本高速の「SA・PA旅グルメフェア」は、それ自体が日本初。試行錯誤の連続だった。

そのきっかけを、開催会場となる東武百貨店池袋店(東京都豊島区)で、催事部の催事企画担当下平哲也プランナーに聞いた。

「最初はどら弁が最初キーワードとしてあった。駅弁とか空弁とかある中で、次はどら弁がいけるのではないかと」

高速道路のSAやPAは、急速に進化している。民営化後の各高速道路会社は、SAやPAを「旅の目的地にしてもらいたい」という熱意を込めて、大幅な施設改修やテナントの入れ替えを図った。品揃えにもはご当地の特産を盛り込み、雰囲気も味も民営化前とは比較にならないほど向上した。

そうした流れの中で登場したのが、高速道路で食べる特別なお弁当「どら弁」だった。先駆者である東日本は、数量や曜日限定でご当地産品を生かした商品を展開しているが、それをデパートで扱うのは、簡単ではなかった。

「どら弁は駅弁のように製造元の組合があるわけでなく、鉄道会社が認定を出すということもない。空弁のように座席テーブルに乗るという明確な規格もなかった。よく考えると、クルマを運転しながらお弁当は食べられない」(下平氏)

ほかにも片手で食べられるワンハンド商品の企画も考えられたが、運転しながら食べられるというコンセプトは、安全運転の点から課題があった。高速道路の利用者は、単なるお客さんでなく自動車の運転者である点が、大きく違っていたのだ。そんな困難に見舞われる中でたどりついたのが、SA・PAのグルメフェアだったのである。

「2年くらい時間をかけて、やり方を探ってきました」と、下平氏は振り返る。

高速道路のSAやPAは、東日本高速が管理する路線だけで307か所ある。テナントは上下線でも違う。そこを東武百貨店の担当者が数人で手分けして、ほとんどすべてを回り、数々の物産展で研ぎ澄ませた目で選定したという。

「例えば、つくば鶏と奥久慈卵を使った常磐道友部PAのとろとろ親子丼は、東日本さんが主催する春のメニューコンテンスで1位なんです。では、それが本当に売れるのか。『じゃらん』さんの力を借りて、SA・PAのグルメ選手権も実施したのですが、そこでも上位にきた。それで大々的に紹介しようと、商品を選定していった」(同上)

デパートで新しいものを食べるというのはコミュニケーションのひとつ。下平氏は「写真をとってブログに載せたりとか、こういうの食べた、知ってるという感じで、単なる生理的欲求ではない」と、グルメフェア人気の秘密を話す。SA・PA旅グルメフェアは、デパートでSA・PAの一品が、逆にデパートの一品がSA・PAで並ぶ可能性を秘めている。

高速道路のSA・PAは、パーキングエリア全体が『星の王子様』のテーマパークになった関越道寄居上りのPAのような想像を超える場所もある。このグルメフェアなら、その変化を一か所で体感できる。

東武百貨店「SAPA旅グルメフェア」《撮影 中島みなみ》 東武百貨店「SAPA旅グルメフェア」《撮影 中島みなみ》 東武百貨店「SAPA旅グルメフェア」《撮影 中島みなみ》