NBSSのコンセプトを説明する動画

アイシン・エィ・ダブリュ(以下:アイシンAW)といえば、トランスミッションやカーナビゲーションの開発で知る人ぞ知る大手メーカーの一つ。

古くはトヨタ・セルシオ用に世界初のボイスナビゲーションを搭載し、さらに98年には同・プログレ用にトランスミッションとカーナビゲーションをリンクさせた「NAVI・AI-SHIFT」を開発。今ではトヨタのディーラーオプション(DOP)ナビのほとんどに同社のナビ技術が採用され、最近ではiPhone用ナビアプリ「NAVIelite」を市場投入したことが記憶に新しい。まさにアイシンAWは、カーナビのトップメーカーとして着実な実績を積んできたと言えるだろう。

そのアイシンAWは現在開催中の第42回東京モーターショーにアイシングループの1社として出展。会場ではアイシンAWが開発しているトヨタ向けDOPナビや欧州、中国向け純正ナビの他、「ナビエリート」が展示されている。ここで同社が掲げているのは『NBSS』という、同社のカーナビに対する基本コンセプトだ。これはNavi Based System & Serviceの略で、直訳すればナビの基本システムとサービスについてのコンセプトを意味している。

NBSSの基本的な要素は大きく3つ、「ドライバーをナビ」「クルマの動きをナビ」「情報をナビ」で構成される。「ドライバーをナビする」はよりわかりやすいスマートな案内を実現することを意味し、「クルマの動きをナビ」はナビ情報による車両制御と運転をサポートすること。そして「情報をナビ」ではドライバーに有益な情報をタイムリーに提供することを基本要素としている。そのコンセプトを紐解くことでアイシンAWが見据えるナビゲーションの未来が見えてくる。

同社ナビ事業本部第一営業部副部長 廣瀬功司氏はこのコンセプトについて、「ナビエリートを出すにあたり、従来のB to Bからコンシューマを意識した事業戦略に転換しなければならない。そのためには自社の強みを活かすことが重要で、その結果生まれたのがこのコンセプトだった」と説明する。

冒頭でも述べたように、アイシンAWはトランスミッションとカーナビの能力を組み合わせらることで車両の統合制御を実現できる独自の技術を持つ。これを最大限に活かすことこそ、新しいカーナビの価値を生み出し、アイシンAWが力を発揮できる唯一の道、というわけだ。インタービューに同席した同社ナビ事業本部製品統括部第2製品統括グループの牛田孝一氏は、これについて「スマートフォンでも車両制御はできる。クルマと強調できるナビとして成長させ、その位置でダントツになっていくためにも、こだわりのHMIでユーザーがアッと驚くようなコンテンツを作りたい」とも話す。

さらに牛田氏は「単に目的地までを案内するではなく、広い意味でのナビ、コンシェルジェみたいな形を次のステップとして位置付けている」とも話した。時間と場所をつなぎ、カーナビが最適な情報をドライバーに提案していくのだ。スマホなら通信機能を備えるから最新情報を探すのもお手のもの。さらに道路データに勾配情報を入れておけば負荷の少ないルートを選んだガイドが可能になり、EVにも役立つ。また、スマホで管理されているスケジュールや住所などを元にガイドを行うことも想定される。「先の予測をしながらのアドバイスも可能になる」(牛田氏)というわけだ。

その一方で廣瀬氏は、「スマホを使うナビアプリは、スタートとして手軽に使うことができる。しかも、ユーザーはクルマよりもスマホの方が身近な存在として感じている」とも話す。そこでターミナルモードへの対応が一つのテーマとして上がってくる。これは車載モニター上からスマホの機能をコントロールしながら利用するもので、これが実現できればスマホに収録されたナビアプリが利用可能になる。トヨタが『プリウス PHV」でCAN-BTを実現したように、車両側の情報をスマホに伝えられれば、車速パルスを使って測位精度の向上にもつながる。

アイシンAWは「NBSS」を掲げることで、スマホを使う新たなナビゲーションの可能性を探っており、新規に市販ナビを出していくよりもこの分野での可能性に未来を感じている様子だ。現在はiPhoneだけの対応となっているナビエリートだが、市場の状況を見ればアンドロイド端末への対応も必須だろう。これについて廣瀬氏は「もちろん検討課題に挙がっていますし、開発も行っています。あとはタイミングの問題だけです」と答えれくれた。これは期待して良さそうだ。

アイシンAWは、12月5日に「ナビエリート」のバージョンアップを発表したばかり。ここではスマホの連絡先を目的地として設定できたり、交通情報の提供エリアの拡大など、新たな魅力を加えている。さらに指摘されていた不具合もこのバージョンアップでほぼ解消できるという。アイシンAWはスマホというコンシューマと密接につながることで、次世代カーナビの姿を見通しているのだ。

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