フリードスパイクHV《撮影 青山尚暉》

ホンダ『フリード』のビッグMC、HVの追加とともに新たに加わったのがフリードの2列仕様、車中泊も可能な『フリードスパイク』のHV版である。

「20世紀少年」に出てくる少年たちが大人になったとき『フリードスパイク』があったら、あの原っぱメンバーの誰もが欲しがるに違いない、走るベース基地とも言えるキャラクターが楽しく頼もしい。

実はフリードとはパネルで覆われたリヤクォーターウインドー部分だけでなく、フロント部分もまるで違うデザインの『スパイク』だが、その最大の特徴は使い勝手抜群、ガレージ感覚のフレキシブルな荷室にある。

そのスペースは広大。荷室奥行きは1列目席が最後端位置でも1775mm、1列目席を前出しすれば最大2015mm(幅はシングルベッド以上の1010〜1225mm)。その気になれば1800mmの長さのエアーマットレスを車内にブチ込み、快適に寝ることだってできるのだ。大型犬用のクレートなども余裕で入り、フロア4か所にあるタイダウンフックでしっかり固定できる。

スパイクならではの「反転フロアボード」にも注目だ。素材は樹脂+補強材のアルミ。反転操作は片手で軽々OK(細腕女性でも)。フロアカーペットの上を滑らすだけでよく、持ち上げる必要すらない。そしてフルフラット、スロープモードなど、実に便利なアレンジが可能となる。今回、荷室前方床下部分にHVシステムを配置したことでスロープモード時のフロアが35mm高まってはいるが、フリード同様、実質的な荷室容量は変わっていない。基本装備としてはフリード同様、シートハイトアジャスター、前席シートベルト上下調整機構、VSAが標準化されたのも嬉しいニュースだろう。

そんなスパイクHVを走らせると、乗り心地や静粛性の向上といった進化ぶりはフリード同様だが、しかしフリードHVで気になったパワステの軽すぎる手応えやステアリングから伝わる接地感の薄さはあまり気にならない。よりしっかりした安心感の高い走りっぷりを披露してくれるのだ。聞けば3列目席がなく、ボディの上下剛性も異なるため、足回りを専用チューニング。結果的にこちらのほうがパワステの手応えがよりしっかりしたタッチになったというわけだ。

ところで、『スパイク』のペットフレンドリー度はフリードを大きく上回る。荷室部分はスペースアップしたとしても汚れにくい樹脂素材で、たとえばベンチタイプのみの後席片側をフラットに格納した3名乗車状態なら、愛犬をワンステップフロアのスライドドアから、または開口部高が480mmとごく低い荷室側から乗降させ、安心できる後席の隣に座らせることができる。そして収納だらけのリヤサイドユーティリティに愛犬用のドライブグッズをディスプレイするように置くことだってできるから楽しい。もちろん、お気に入りの場所に停めて、愛犬とお昼寝だってできる。

スパイクは可能性搭載コンパクト。アウトドア派、スポーツ派にはもちろん、愛犬とドライブする機会の多い人にこそ強く薦めたい。24.0km/リットルの好燃費だから、毎週、愛犬をどこかへ連れて行ってあげたくなるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組も手がける。

ホンダ フリードスパイクHV《撮影 青山尚暉》 ホンダ フリードスパイクHV《撮影 青山尚暉》 特徴的なリヤクォーターパネル。内部は収納になっている。《撮影 青山尚暉》 遊び心をくすぐるリヤビュー。雨の日はバッグドアが大きなひさしになる。《撮影 青山尚暉》 フリードとは異なるフロントセクション。《撮影 青山尚暉》 反転フロアボード。フルフラット状態。《撮影 青山尚暉》 反転フロアボードのスロープモード。高さがかせげるだけでなく、自転車なども積み込みやすいスロープが出現。《撮影 青山尚暉》 反転フロアボードは5:5分割。《撮影 青山尚暉》 荷室右側の壁面。《撮影 青山尚暉》 荷室左側の壁面。《撮影 青山尚暉》 新たに加わったフロアの収納。《撮影 青山尚暉》 後席を左側のみ倒したところ。フロアはフラット。3人掛けが可能。愛犬も乗せやすいアレンジだ。《撮影 青山尚暉》 最大荷室状態。大人2人の車中泊も可能なスペースとなる。《撮影 青山尚暉》