トヨタ プリウスα《撮影 宮崎壮人》

投票結果を見て、ああ、今年はCOTYはラクだったんだ…と思った。トップの『リーフ』が522票で、2位の『Cクラス』が、174票。その倍率、実に3倍ジャスト! 一方それと同時に票数とは関係なく、今の自動車マーケットの構造が浮き彫りになっている結果だとも思った。

日本車は日産リーフのほか、トヨタ『プリウスα』、ホンダ『フィットシャトル』、マツダ『デミオ』、ダイハツ『ミライース』とすべてエコカーであり、どれも他には無いテクノロジーで勝負。プリウスはいわずとしれた「THS II」=2モーターのハイブリッドで、リーフは電気自動車、フィットシャトルは「IMA」=1モーターのハイブリッドシステムで、デミオは超高圧縮のプリミティブタイプ、最後のミライースはデミオに似てるがもっと軽量化や全体の効率化を頑張ったモノ。野球のピッチャーで言えば変化球勝負。
 
一方、Cクラス、VW『パサート』、BMW『1シリーズ』、プジョー『508』にボルボの『S60/V60』もエコカーと言えばエコカーだが、すべてが小排気量の高効率ターボエンジン。1シリーズと508に至ってはエンジンはほぼ同じと言っていい。要するに“味”で勝負のクルマ達ばかり。
 
というか両グループは価格帯が全く違っている。一番安い1シリーズでさえ、300万円越えなのに、ミライースに至っては80万円弱。これまた3倍の開きがある。(唯一、リーフは電気自動車なので補助金を使っても約300万円と猛烈に高いがコレはちょっと特別)
 
要するに何が言いたいのかって、国産車と輸入車は全く別のビジネスをしているということだ。国産車はまさに“安い早い旨い”が勝負で、今後韓国車や中国車との対決が迫っている。かたや欧米のクルマは、あくまでもブランド勝負、ある一定以上のお金持ちを相手にする。どちらも厳しい、タフなバトルだが、おそらく国産車の方が厳しい。燃費競争、コストダウン、量産効果を競い合うわけであり、ちょっとでも気を抜くとヤラれる。
 
かたやグルメ勝負は、個性をキープし、規模をデカくし過ぎなければそこそこイケる。どちらもラクではないが、とにかく今後の国産車バトルは大変な時代を迎えているのだ。
 
それをユーザーはどこまで分かっているのだろうか…と思った。安い、ウマイを求めるのはラクだが、その裏には破滅覚悟で挑んでくる会社も出てくるに違いない。
 
トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、ダイハツ、スバル、三菱、スズキ…まだ日本には8社もの大乗用車メーカーがある。私はこの結果を見ながら、この生き残りゲームの厳しさをつくづく噛みしめたのであった。


小沢コージ|バラエティ自動車ジャーナリスト
横浜市出身。自動車メーカー、二玄社「NAVI」編集部員を経てフリーに。現在「ベストカー」「エンジン」「週刊プレイボーイ」「MONOMAX」「時計ビギン」などの雑誌「carview」「webCG」「日経BPネット」「Vividcar」などネットに多数連載。愛車はポルシェ 911カレラ2、ロールスロイスなど。趣味はサッカー、スキー、ゴルフ、絶叫カラオケ!?

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