トヨタ・プリウス

富士経済は、ハイブリッド自動車や電気自動車などの次世代自動車、非常用電源・系統連系などで使用される電力貯蔵装置などを対象に応用製品市場と搭載される蓄電デバイス・その部材市場について調査した。

調査は3回に分けて行う予定で、その第1回目の調査結果を報告書「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望2012 No.1〜自動車・輸送機器分野編〜」にまとめた。報告書では、次世代自動車6分野、その他輸送機器4分野の応用製品市場とその製品に搭載される蓄電デバイスの市場を調査・分析したもの。

ハイブリッド車(HV)市場は、トヨタ自動車『プリウス』と、ホンダ『インサイト』が牽引しており、2011年の生産台数の8割近くを日本で生産している。販売は日本以外ではアメリカでも進んでおり、日本からの輸出比率が高い。

2015年以降は、世界的な燃費規制の強化を背景に、世界の各自動車メーカーのラインアップが強化され、日欧米の各エリアでの生産・販売が進むと予測。2011年のHVの世界市場91万7000台が2020年には555万7000台に拡大すると予想する。

HVの蓄電デバイス市場は、現状でプリウス、インサイトに採用されているニッケル水素電池が中心だが、国内外のメーカーで既にリチウムイオン電池の採用が始まっている。しかし、コストを重視するケースや各種パフォーマンスを重視するケースなど、車種に応じて搭載される電池が選定されるため、今後もニッケル水素の需要は続くと見る。

プラグインハイブリッド(PHV)や電気自動車(EV)が本格投入される2015年前後には、リチウムイオン電池の量産効果によるコスト低減により、HVでのリチウムイオン電池の採用拡大を予測する。

2011年のニッケル水素電池市場は903億円から2020年に1262億円へ、リチウムイオン電池は2011年の88億円から2020年には3338億円へ拡大を予想する。

また、2010年末にゼネラルモーターズ(GM)の『ボルト』が発売されたことから、PHV市場は2011年が6900台となる見込み。2012年以降はトヨタ、ホンダ、ダイムラー、フォードなどが市場投入を予定している。

2012年のアメリカのカリフォルニア州におけるZEV規制や、世界各国の燃費規制強化が追い風となり市場拡大が予測される。特にアメリカでは、PHV開発を国家プロジェクトで進めてきた経緯があり、同市場を牽引すると見られる。2020年には世界市場は110万台を予想する。

PHVの蓄電デバイスは、リチウムイオン電池が主流となる見通し。試作モデルなどではニッケル水素電池も採用されていたが、量産モデルではリチウムイオン電池が採用されている。PHV向け電池はEV向けとしても採用可能なものやHV向けから転用したものもあり、連動して価格が低下していく見込み。このため、PHV市場の拡大に歩調を合わせて蓄電デバイス市場も拡大するが、電池コストの低減が進むことでPHV市場よりもデバイス市場の伸びは鈍化すると見られる。

2011年のPHVのリチウムイオン電池市場は102億円となる見通しだが、2020年には7531億円となると予想。

EV市場は、2011年が3万9400台を予想するが、2020年には38万3000台に拡大する見込み。HVと同様、日本企業が量産では先行していることから、生産台数の8割近くは日本での生産となっている。販売では日本の他にもアメリカでの導入が進んでいる。

今後、他の自動車メーカーからもEVが投入されることで市場は拡大していくと予測されるが、現状のリチウムイオン電池技術をベースとしたEV開発では走行距離や急速充電による電池の劣化など課題も多い。2020年までは走行距離が限定されたコミューターカーなどで限定的に需要創出が進んでいくと見る。

蓄電デバイスについては、現状ではリチウムイオン電池が主流だが、EV向けに展開する電池メーカーが乱立しており、各国で電池工場の建設計画が相次いだことから電池メーカー間の競争が激化し、電池コストは急激に低下している。EV市場の拡大と共に蓄電デバイス市場も拡大するが、電池コストの低減が進むことによりEV市場よりもデバイス市場の伸びは鈍化すると見られる。

EVの蓄電デバイス市場はリチウムイオン電池が2011年が845億円を予測するが、2020年には4854億円に拡大する見通し。

ホンダ・インサイト《撮影 高木啓》