メルセデスベンツ Cクラス《撮影 宮崎壮人》

『リーフ』の受賞は当然だろう。最終選考でリーフ以外に10点を投じた人も、まさか未来永劫ガソリン車が走り続けられるとは思っていないはずだ。どこかで誰かが、代替燃料自動車普及のためのアクションを起こさなければならない。もちろんクルマを売るだけでなく、インフラなどの整備を込みでのアクションを。

その役を買って出たのが日産である。いうなれば日産は、「EVの種まき」をやっている。誰だって花がいい。おいしいトコだけ持っていきたい。でも日産はあえて、EVの種を蒔いて育てている。非接触充電器の開発やバッテリーの家庭利用など、自動車会社の枠を変えた活動を繰り広げている。そんな周辺活動を含めれば、満点は当然だろう。本音を言えば、持ち点の25点をすべてリーフに投じたかったぐらいだ。
 
でもルール上そうはいかないので、残りの4台は、デザインや走りが楽しめるか、まっさらな新型車であるか、の2点に絞って投票した。マツダのスカイアクティブテクノロジーは日産のEV種まき活動と違う意味で評価できるし、輸入車の3台はいずれも、楽しめるキャラクターの持ち主である。
 
クルマ単体ではなく、モビリティ全体という視点で考えると、単なる移動は環境負荷の低い公共交通へシフトしていくべきである。しかし僕は、クルマそのものを否定はしない。クルマには自由に移動し、自ら操るという魅力がある。だからこそ「楽しさ」が重要であると考えているのだ。
 
しかしインポート・カー・オブ・ザ・イヤーは、デザインや走りが楽しめるわけでもなく、まっさらな新型車でもないクルマが受賞した。
 
日本におけるメルセデス・ベンツの信奉者が多く、とりわけ自動車ジャーナリスト業界でその傾向が強いことを立証したような結果だが、外野の人間からは、「なぜマイナーチェンジのクルマが選ばれたのか」という疑問が湧き出てくることだろう。
 
我々はこれから1年、その疑問に対する説明責任を果たしていかなければならないという、重大な責務を負ってしまった。


森口将之|モータージャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得意としており、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。一方で趣味としての乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。試乗以外でも海外に足を運び、現地の交通事情や都市景観、環境対策などを取材。二輪車や自転車にも乗り、公共交通機関を積極的に使うことで、モビリティ全体におけるクルマのあるべき姿を探求している。日本自動車ジャーナリスト協会、日仏メディア交流協会、日本デザイン機構、各会員。著作に「パリ流 環境社会への挑戦(鹿島出版会)」など。

2011-2012年日本カーオブザイヤー・ノミネート《撮影 椿山和雄》 2011-2012年日本カーオブザイヤーは電気自動車の 日産リーフ。《撮影 椿山和雄》 森口将之氏《撮影 宮崎壮人》