PGOセバンヌ《撮影 松下宏》

PGOはフランスの手作り自動車メーカーで、クラシカルな外観のFRPボディにプジョー製のエンジンを搭載して販売している。パリやジュネーブのモーターショーに出品して注目集めており、ヨーロッパでは手作り生産の自動車メーカーとして認知されている。

本国では年々販売を伸ばしており、日本では「イエス!」など個性的な少量生産のスポーツカーを専門に扱うオートリーゼンが2010年から輸入・販売を始めて注目されるようになった。

試乗した『セバンヌ』は、PGOがラインナップする3車種のうちのひとつで、ミッドシップレイアウトの2シーターオープンスポーツ。かつてのポルシェ『356』からインスパイアを得て作られたモデルだ。

ボンネットやフェンダーなど、ボディの外板は樹脂パネルで作られ、980kgという軽い重量を実現している。サイズは今どきのクルマとしてはかなりコンパクトで、全長が4mを切る3700mm、全幅はちょうど日本の5ナンバー規格に収まる1690mm、ホイールベースも2230mmと短めだ。

幌タイプのルーフを持つ外観デザインは、いかにも古典的なスポーツカーといったイメージ。インテリア回りのデザインもメッキリングの丸型メーターがレトロ感覚を表現している。

リヤのミッドシップに横置きに搭載されるエンジンはプジョー製の直列4気筒2.0リットルのVVT機構付き。103kW/195Nmのパワー&トルクを発生し、最高速は200km/hに達するという。トランスミッションは基本が5速MTだが、今回試乗したモデルはオプションの4速AT車で右ハンドル仕様だった。

幌を開けてちょっとタイトな感じのスポーツシートに座ると、楽しいドライブが約束された気分になれる。エンジンを始動するにはキーを差し込んだ後、インスト中央に設けられたスターターボタンを押すという、普通のクルマとは少し違った儀式が必要だ。

最初は様子を見ながらゆっくりと走り出す。レトロ調の外観からすると、ちょっと手ごわい(運転のしにくい)クルマでないかとの予感もあったが、それは簡単に裏切られ、ごく普通の感覚で運転できるクルマに仕上がっていた。

ボディはレトロ感覚でも、パワートレインは現代のプジョー製のものが採用されているのだから、だれでも普通に運転できるのは当然である。オープンにして走ると、当然ながら風の巻き込みもあるが、風を受けて走るのが楽しいと感じさせる。

エンジンの吹き上がりは上々で、アクセルを踏み込めば気持ち良く加速に乗っていく。4速ATの変速フィールはそれなりといったレベルだが、積極的にレバーを操作してマニュアル車感覚の走りを楽しむことも可能なので、走りたいならマニュアルモードを選択すれば良い。

乗り心地はフランス車というよりもスポーツカーといった感じでかなり硬め。サスペンション形式は前後ともストラット式で、ボディがコンパクトな分だけトレッドも狭いが、安定性に不満を感じることもない。ただ、積極的にコーナーを攻めるような乗り方をするクルマではなく、クルージングを楽しむタイプのクルマである。

価格は520万円弱の設定で、オープンスポーツとはいえ相当に高めの水準にある。手作りで1日に1.5台程度しか生産できない稀少な少量生産車であることや、レトロ感覚の特徴的なデザインなどに価値を見い出せる人が選ぶクルマだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

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