トヨタ 86 プロトタイプ《撮影 宮崎壮人》

トヨタの新型FRスポーツカー『86』は国内専用車ではなく、海外でも販売される。しかし企画段階で軸足を置いていたのはやはり日本だった。我が国の自動車業界の復活が最大のテーマだったと、チーフエンジニアを務めた製品企画本部の多田哲哉氏は語った。

「日本のオヤジのために作ったんです。最近、オヤジがかっこ良くクルマに乗るというシーンを見なくなっちゃったじゃないですか。僕たちの世代は、初めて父親がクルマに乗って帰ってきた瞬間をいまでも覚えているけれど、最近の子供は、連休の渋滞で、家族が後ろで盛り上がっているのに、ミニバンの隅っこですごい苦労して運転しているオヤジを見て、大きくなってもあのようにはなりたくないと思っているみたいで。その状況を変えたいと思ったんです』

もちろん86を出した瞬間に、すべてが変わるわけではない。多田氏もその点は認識している。このクルマがきっかけになって、少しずつ状況が変わっていけばと願っているという。

「ひとつぐらい面白いクルマが出たからといって、みんながクルマに興味を持つなんて、そんなに甘いことじゃないと考えています。長い時間をかけて、クルマを嫌いになるような状況にしちゃったんで、好きに戻すにも長い時間をかけてじっくり取り組んでいくべきじゃないかと思っています」

お父さんがカッコいいクルマに乗っていれば、子供はそんなお父さんをカッコいいと思う。それを第一歩として、状況を少しずつ前進させていって、しだいにクルマに興味を持っていくようになればいいと、多田氏は思いを打ち明けてくれた。

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