三菱 RVR《撮影 宮崎壮人》

10月にマイナーチェンジを受けた三菱自動車のコンパクトSUV『RVR』。2010年2月のデビューから1年8か月という短期間でのマイナーチェンジとしては、変更幅は異例に大きく、デザイン、パワートレイン、足回りと、多岐に及ぶものだった。

新型の最大の注目点は、アイドルストップ機構「AS&G(オートストップアンドゴー)」と新開発「4J10」型1.8リットル直4エンジンの組み合わせによる燃費性能の向上だろう。

エンジンはシリンダーブロックやクランクケースなどの基本設計を旧型の「4B10」型から受け継ぎながら、重量削減のためDOHCからSOHCにレイアウトを大幅変更。SOHCの量産エンジンとしては初めて、バルブの開閉タイミングとリフト量の両方が可変タイプとなった。エンジン内部の摩擦損失を減らすため、ピストン、コンロッド、クランクシャフトなどの可動部分も一新したという。

「バルブリフト量を可変としたことで全域でエネルギー効率を高めることができました。とくに向上幅が大きいのはスロットル開度が小さい時です。リフト量を絞ることでタンブル(シリンダー内に空気を吸い込んだ時の縦方向の渦。横方向の渦はスワール)の流速が上がり、燃焼効率を高めることができました。実用燃費で重要となる1500から2000回転(/分)くらいの低負荷領域における効率を相当改善できたと自負しています」

エンジン開発を担当した牧村健氏は、新エンジンの特徴をこう語る。

CVTはマイナーチェンジ前ものがベース。エンジンとの協調制御でアイドルストップを行うため、エンジン停止時も油圧を保持するための電動オイルポンプが追加されたほか、燃費向上のため変速プログラムも変更されている。

「AS&Gの機構自体はそんなに複雑なものではありません。開発に一番苦労したのは、実はチューニングの部分でした。単にブレーキを踏んだら止めて、ブレーキを離したりステアリングを回したりしたらエンジンをかければいいんだろうと思っていましたが、実際にやってみるとそれではとても商品にならない。実験舞台は『普通のATとまったく同じフィーリングにしろ』と言われる。開発からすれば無茶苦茶言うなという感じでしたが、考えてみればお客様にとっては当然の要求なんですね。試行錯誤を重ねて違和感がないと言えるレベルをクリアできたと思います」(パワートレイン設計部・鈴木裕之氏)

AS&Gを装備した新型RVRの10・15モードおよびJC08モード燃費はFWD(前輪駆動)がそれぞれ17km/リットル、15.8km/リットル、AWD(四輪駆動)がそれぞれ16.8km/リットル、15〜15.4km/リットルと、SUVとしてはかなり良好なスコアである。このクラスのSUVは日本では意外に手薄で、ライバルと言える国産モデルは2リットル級の日産『デュアリス』、スバル『フォレスター』くらいしかない。RVRは200cc少ない排気量、エンジンの大幅改良、AS&Gの合わせ技で、5ナンバー・1.5リットルの日産『ジューク』を例外とすれば、燃費クラストップに踊り出た格好だ。SUVのワイルドさと経済性の両方を追いたいユーザーにとっては結構狙い目かもしれない。

三菱 RVR《撮影 宮崎壮人》 三菱自動車 エンジン開発担当・牧村健氏《撮影 宮崎壮人》 三菱自動車 パワートレイン設計部・鈴木裕之氏《撮影 宮崎壮人》 三菱 RVR 開発者《撮影 宮崎壮人》 三菱 RVR《撮影 宮崎壮人》 三菱 RVR《撮影 宮崎壮人》 三菱 RVR《撮影 宮崎壮人》 三菱 RVR《撮影 宮崎壮人》 三菱 RVR《撮影 宮崎壮人》 三菱 RVR《撮影 宮崎壮人》 三菱 RVR《撮影 宮崎壮人》