風力発電を水素として貯蔵---日立がシステムを開発

日立製作所は、国立極地研究所から風力発電機利用水素発電システム一式を受注した。

今回受注した風力発電機利用水素発電システムは、風力発電で得られた電力を水素に変換して備蓄し、必要なときに電力として取り出すシステムで、発電電力の変動が大きい再生可能エネルギーを安定的に供給するのに役立つ。

システムは今年11月から2012年3月まで、秋田県にかほ市で風力発電機と接続して稼動し、南極昭和基地のエネルギー自給率向上のための基礎データ取得に活用される予定。

南極昭和基地では、ディーゼル発電機で発電した電力を、各種観測機器の運用や生活用の電力源として使用している。南極観測に必要な物資は、南極観測船「しらせ」で輸送するが、これらの物資のうち、ディーゼル発電や車両用の燃料が総輸送量の約半分を占めている。

今後、発電燃料消費量の増大に対しては、必要な燃料輸送に限界があるため、将来の燃料不足対策の一案として風力発電や太陽光発電など、再生可能な自然エネルギーを利用することを検討している。ただ、自然エネルギーは時間や季節による発電量の変動が大きいため、効率的に備蓄し、安定的に再利用(回収)するシステムが求められている。

日立はこれまで、風力発電など発電電力の変動が大きい再生可能エネルギーを平準化し、安定的に供給する手段として、電力を水素に変換して備蓄し、必要なときに水素または電力として取り出すことができるシステムの開発に取り組んできた。

今回受注した風力発電機利用水素発電システムは、発電電力の変動が大きい風力発電でも効率よく水素生成が可能な「水素製造システム」と、生成した水素を有機化合物であるトルエンに固着させ常温・常圧の液体であるメチルシクロヘキサンの形態で貯蔵する「備蓄システム」、そして貯蔵システムから必要なときに水素を取り出し、水素混合ディーゼル発電機で発電する「回収システム」で構成する。

日立は今回の受注を機に、燃料移送が困難・割高となる離島や極地、マイクログリッドなどで、再生可能エネルギーから安定したエネルギーを供給しCO2の削減に貢献するシステムとして普及拡大を目指す。