最高裁判所イメージ

2006年8月、福岡県福岡市東区内の市道で乗用車を飲酒運転の末にRVへ追突する事故を起こし、RVに同乗する幼児3人を死亡させたとして、危険運転致死傷などの罪に問われた27歳の男に対し、最高裁第3小法廷は被告側の上告を棄却した。これによって2審の福岡高裁による懲役20年判決が確定。決定は10月31日付け。

問題の事故は2006年8月25日深夜に発生した。福岡市東区奈多付近の市道に架かる「海の中道大橋」を走行中のRVに対し、後方から猛スピードで走ってきた乗用車が追突。RVは歩道を乗り越えて橋の欄干を破壊、そのまま海に転落した。この事故でRVに乗っていた5人のうち、幼児3人が溺死。この幼児の父母は打撲などの軽傷を負っている。

追突してきたクルマはそのまま逃走したが、約300m先で自走できなくなって立ち往生。クルマを運転していた22歳(当時)の男は飲酒運転を認めており、警察では業務上過失致死などの容疑で逮捕したが、いわゆるハシゴ酒の状態であったことや、アルコール検知の数値をごまかすために水を大量に飲んでいたことが判明。検察は悪質事案と判断し、起訴時には罪状を危険運転致死に変更していた。

しかし、1審の福岡地裁は飲酒による運転への影響を認めず、「事故は脇見によって生じた」と断定。検察側は危険運転罪を適用した懲役25年を求刑していたが、裁判所は業務上過失致死傷と道交法違反の罪で懲役7年6か月の実刑を命じていた。

これに対して2審の福岡高裁では事故直前の8秒間、被告が100km/hの速度を保ったまま、前走車に気づくことなく走行を続けたことを重視。これを「飲酒の影響によるもの」と判断し、危険運転罪の成立も認めて1審判決を破棄。被告には懲役20年の実刑が命じられた。

被告はこれを不服として上告していたが、最高裁第3小法廷は「事故前の被告は相当程度の酩酊(泥酔)状態だった」と認定。8秒間に渡って高速度を維持していたことについては「前方を注視していたとしても被告は迫る危険を的確に判断できなかった。こうした状態は危険運転罪の成立要素である“正常な運転が困難な状態”といえる」という初めての判断を示し、被告側の上告を棄却。これによって2審の福岡高裁判決が確定した。

第3小法廷は裁判官5人による合議制だが、今回は4人が危険運転の成立を認め、残る1人は被告の酩酊状態を否認するとともに「8秒間の前方不注視状態を飲酒の影響とすることは経験則に反する」として、業務上過失致死傷罪が適当と主張していた。