ミシュラン装着のGT-Rで、2011年GT500王座を獲得した柳田(左)とクインタレッリ。《撮影 遠藤俊幸》

「2011 SUPER GTシリーズ」の最終第8戦が栃木県・ツインリンクもてぎ(ロードコース)を舞台に開催され、GT500、GT300両クラスともトップ2に絞られていたシリーズチャンピオン争いが、決着の瞬間を迎えた。

予選日(10月15日)から決勝日(16日)の朝のフリー走行までは雨、しかし決勝(53周/250km)は晴れてドライコンディションという、やっかいな天候変化を経ての最終決戦。各陣営、ドライタイヤでの満足なデータ取りができておらず、タイヤ選択がいつも以上に難しい状況で決勝に臨むこととなった。

GT500は日産『GT-R』勢同士のタイトル争奪戦だが、このレース6位以上で自力王座となる#46「S Road MOLA GT-R」(柳田真孝&ロニー・クインタレッリ/ミシュランタイヤ)がポールポジションを獲得しており、絶対有利な形勢。一方、優勝することが逆転王座の最低条件である#23「MOTUL AUTECH GT-R」(本山哲&ブノワ・トレルイエ/ブリヂストン)は予選5位と厳しい位置からのスタートだ。

GT300はフェラーリ『458』とBMW『Z4』のタイトル争い。いずれも勝てば自力王座の#11「JIM GAINER DIXCEL DUNLOP 458」(田中哲也&平中克幸/ダンロップ)と、#4「初音ミク グッドスマイル BMW」(谷口信輝&番場琢/ヨコハマ)、こちらは両車がフロントロウに並ぶ、まさしく最終決戦に相応しい状況となった。5点ビハインドの#4谷口組BMWがポールで、#11田中組フェラーリが2番グリッドだ。

路面温度が30度を超え、予想外と言ってもいい暑さのなかでスタートした決勝は、一部のマシンが想定外のタイミングでのタイヤ交換を強いられるなどしたが、大きなアクシデントはなく推移。#46 GT-Rはクインタレッリが首位をキープして前半パートを終え、タイトル獲得に向けて絶好の展開に。後半、素晴らしい走りで迫ってきた#23 GT-Rの本山にトップを奪われはしたものの、柳田が2位を守り切ってゴールし、見事にGT500シリーズチャンピオンの座を獲得した。ドライバーとチームの2冠。

MOLAチームにとっては、GT500参戦初年度での王座到達だ。大駅俊臣監督は「ミシュランタイヤが元来得意とする夏場に『まず1勝』ということを考えていました。実際に夏場に1勝できて、3戦連続で表彰台も獲得してシリーズトップに立った頃から、タイトルも意識しましたけどね。GT500で戦うチャンスをつくってくれた日産、ニスモ、そしてS Roadをはじめとするスポンサーのみなさんに感謝したいです」と喜びを語った。

自身にとってはGT500復帰のシーズンにチャンピオン獲得となった柳田は、「(#23に迫られた時は)今までで一番、しびれましたね」と話す。「もちろん勝って決めたかったけど、(変な粘り方をして)大きく順位を落とすことになったら大変なので」、ある程度のところで線を引き、冷静に視線をタイトル奪取へと切り替え、その後は3位以下を抑え切ってゴールした。

「まだチャンピオンを実感することはできないですけどね。チームとしてGT500に新規参戦するってことは、簡単じゃない。当然、不安はありました。でも、シーズン前のテストからだんだん自信がついていきました」と柳田が言えば、彼の「信頼できるパートナー」クインタレッリも、流暢な日本語で「テストからクルマとタイヤに自信があった」と同意する。そして「素晴らしいシーズンだった。上位にいけるとは思っていたけど、まさかチャンピオンとは……。嬉しいです」と言葉を継いだ。#46GT-Rは1勝、2位4回という見事な高値安定感で、頂点を射止めのである。

そしてGT300では、#4 BMWがまさに完勝劇を見せてシーズン3勝目を飾り、王座を得た(ドライバー&チームの2冠)。悲願のタイトル獲得を果たした谷口は、「10年目にしてやっとチャンピオンを獲れました。嬉しく、そしてホッとしています」と語り、いつものようにウィットに富んだコメントを続けながらも、会見中、瞳が潤むような場面も。

そして大一番で今季初めてスタートを担当した番場も、「谷口さんのおかげで、今年はすごく自分が変われたと思います。走りだけでなく、メンタル面やレースへの取り組み方も教えてもらいましたから」と語り、前戦惨敗後の帰りの機内で、谷口に「頼むからチャンピオンを獲らせてくれ!」と“激励”されていたエピソードも披露。その期待に応えて重責を果たし、“師匠”以上に「ホッとしている気持ちが大きいですね」。

チームを率いる大橋逸夫監督は、「勝てるチームをつくるために、谷口選手や右京さん(今季スポーティングディレクターに就任した元F1ドライバーの片山右京)、メンテナンスガレージなど、勝てる要素を集めました。番場選手も精神的に強くなったと思います」と語り、チームを支えてくれている多くの個人スポンサーの人々にも感謝の意を表した。

#11フェラーリはこのレース3位に終わり、田中と平中は「今回は完敗でした」と声を揃えた。開幕から3戦連続で2位を得るなど奮闘したが、タイトル獲得はならず。このカテゴリー特有の性能調整の影響なども複雑に絡むなか、優勝がなかったことにも無念さは当然残るが、「レースは面白くできたと思います」(平中)と、来季以降に捲土重来を期す。

これで今季のシリーズ戦は幕を閉じたが、11月11〜13日には静岡県・富士スピードウェイで、特別戦「JAF Grand Prix FUJI SPRINT CUP 2011」がフォーミュラ・ニッポンとの併催で開催される。シリーズ戦とは異なるレース形式での戦いにも注目が集まるところだ。そして来季のSUPER GTシリーズ戦は、3月31日〜4月1日開催予定の岡山国際サーキット戦で開幕する。

#46日産GT-Rの柳田/クインタレッリ組が2011年のチャンピオンを獲得。 2011年SUPER GTのチャンピオンたち。左からGT500王者の大駅監督、クインタレッリ、柳田、GT300王者の谷口、番場、大橋監督。《撮影 遠藤俊幸》 最終戦のGT500優勝は#23 GT-Rの本山(左)/トレルイエ組。しかし、逆転タイトルには届かず。《撮影 遠藤俊幸》 5番グリッドスタートの#23 GT-R。優勝するも、タイトル獲得はならず。《撮影 遠藤俊幸》 #23日産GT-Rの本山/トレルイエ組がランキング2位 最終戦3位の#39 SC430の石浦/井口組 今季は苦戦したレクサスSC430勢。《撮影 遠藤俊幸》 GT500最終戦の表彰台。左からクインタレッリ、本山、石浦(3位)、トレルイエ。《撮影 遠藤俊幸》 最終戦のGT300の表彰台。左から2位の影山/藤井、優勝の谷口/番場、3位の田中/平中。《撮影 遠藤俊幸》 痛車マシンの#4初音ミクBMW谷口/番場組がGT300チャンピオン獲得 GT300チャンピオン記念撮影に臨む初音ミクBMW陣営。《撮影 遠藤俊幸》 GT300王座に手が届かなかった#11フェラーリ。《撮影 遠藤俊幸》 #11フェラーリの田中/平中組 HANKOOK PORSCHEの影山正美/藤井誠暢組 土曜の予選はウエットコンディションだったが……。決勝日の午後は一転して、暑いくらいの好天に。《撮影 遠藤俊幸》 予選で1-2を決めた、GT500のミシュラン勢。手前がポールの#46GT-R、奥が予選2位の#39レクサスSC430。《撮影 遠藤俊幸》 決勝はいきなりのドライコンディション。GT500のレクサス陣営も笑うしかない状況? 中央は伊藤大輔、左の背中は石浦宏明。《撮影 遠藤俊幸》 最終戦、決勝レース ゴール直後、ファンの歓声に応えるクインタレッリ。《撮影 遠藤俊幸》 グランドフィナーレで、風船がツインリンクもてぎの空に舞った。《撮影 遠藤俊幸》 今季のSUPER GTは震災復興支援大会として開催されてきた。《撮影 遠藤俊幸》 子供たちと記念撮影する、両クラスのポールシッター。翌日、両コンビともチャンピオンに輝く。《撮影 遠藤俊幸》